第4話 百合の戯れ

 

 レスボスの愛戯には果てしがない。

 果てしがないところが男女の営みの、どちらかというと散文的な、無味乾燥なニュアンスとは一線を画す妙味なのだ。

 

 「知り合ったころにはおっぱいの先端が初々しい感じに薄桃色だったのに…こんなになんだか芽吹くみたいに膨らんで、濃い色になってきちゃって?」

 理子の乳首は硬く、煽情的に尖っている。

 円を描くように指先を巧みに動かすと、理子は喘いだ。

 目の下が興奮で紅潮している。

 男を知らない、乙女の乳房は絖のように雪白で、綿のようにフワフワと柔らかかった。

 「夢美が吸ったりこすったりしすぎたからよ」

 「私のオンナにされちゃった証ね。フフッ。可愛い子猫ちゃん」

 「”子猫”とかプッシーとか、よくセックスの隠語になってるけどなぜだろう?…プッシーキャット、は「感じのいいひと」ていう意味よね。」

 「女役を”ネコ”て言うよね。だから愛玩されるだけの可愛い存在を親しみを込めて言うんじゃない?猫はまあ家庭にいつもいて、セックスも家庭の中でするものだし」


 理子は肢体も、均整がとれていて、理想的に美しく機能的で、性感も鋭敏だった。

 性のパートナーとしてはこれ以上にない、極上の”牝猫”だった。

 喘ぎ声は、音楽のように快く、甘いキャンディを連想させた。

 四肢から立ち上る、何かこの世ならぬ女神か何かのような気高いオーラは、夢美を魅了して、有頂天にさせるのだった。


 果てしのない愛戯は、間歇泉のように訪れるお互いのオルガスムスのシナジーとハーモニーで、ベッドを極彩色に染め上げて、華麗な肉体と快楽の祭礼の空間にするのだった。

 

 これこそが人類の人類たるゆえんだった…この美しさこそが。


<続く>

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