第3話 逢瀬のラフスケッチ

「大谷翔平さん、DLに入ったってね。もうシーズン終了ね。あんなマンガみたいなすごい選手、もう現れないかもね」

「イチローさんの時も、同じこと言ってたけど?事実は小説よりも奇なりってホントだね」

「野茂の渡米が94年だから30年くらい前で…それまでは日米の実力はかなり懸隔があって…そのあと日本野球のレベルが上がって行って、雨後の筍みたいに大リーガーが増えて百花繚乱?になって…最終兵器みたいに大谷選手がトドメを刺した?そんなとこかしら」

「バブル崩壊から経済はパッとしないけど大谷選手や大坂なおみや藤井聡太?ああいう新しい世代のスーパースターの活躍はその土壌の社会の基本的な様々な要因がやはり洗練進歩を遂げていて、日本民族が総体的に優秀なことの端的な証明になるかも…ローマは一日にして成らず、ていうけど高度成長期の「巨人の星」とかの頃には遠い夢だった大リーガーの頂点にまで登りつめる選手がついに現実に現れた…つまり遙かに遼遠な彼方だった「坂の上の雲」?の中に日本民族は肩を並べることができるようになった、その言わば大谷は象徴、偉大なマスターピース…空前絶後だろうけど、あの唯一無二なレジェンド感?が日本の繁栄の終末だか掉尾を飾る、そういう徒花の華麗さを意味するとかじゃなければいいけどね」

「相変わらず理子の論調はシニカルね笑」


夢美の情熱的な赤づくめコスチュームはエンジェルスのユニフォームを彷彿させるし、理子のシックな紺のスーツは、理知的で、深い精神性を体現して、まるで修道院のシスターのような雰囲気だった。

二人の逢瀬は、肉体と精神、知と愛、悪魔と天使のデュエットだった。形而下と形而上の出会い。

太陽と月の如くに二人は対照的で、好一対のカップルだった。



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