雅
小さやかな
女房は、
女房の伏せた顔が鏡のように写りそうな、黒光りした
「
たなびく山の
見れども
春霞がたなびく山の桜の木の
どれだけ見ても飽きることのない花でしょう
「
春霞 立ち
山の桜を」
誰が求めて折ったのでしょうか
春霞が立ち隠している山の桜を
「
「二人とも、その歌はっ」
「
「同じ時に、
そう言って、親王――惟喬へと
「
惟喬は笑みて、言う。貫之は
「私は、姫君の歌に返しただけです。
貫之は、懸盤の上、桜の一枝と共にある
「歌をお詠みして、よろしいでしょうか」
小さやかな
紀貫之は、薄様に書かれた女の歌を詠む。
「
たなびく山の
見れども
貫之は、桜の一枝に、桜の薄様を添える。
「小野宮様に差し上げるために、桜を
小さやかな
「次、遍昭様。」
業平が、遍昭へと袖を向ける。
「こんな歌を詠んだということは、桜の下で逢った姫は、この
遍昭は貫之に問う。
「そんなに
聞き返す業平に、遍昭は言い
「そう言いたかったのだ」
遍昭は、
「
「
惟喬は墨染めの衣で口覆いして、言う。
「次、望行。」
業平は、望行へと袖を向ける。
紀望行は
「私は、何かを言ったのではなく、兄君に、いささかに(ほんのちょっと)聞きたかったことがあっただけで…」
「他の声と、うち
兄・紀有朋に言われて、弟・紀望行は、ますます
「ここではなく、後で聞きます……」
「今、聞かないと、答えてやらないぞ~」
「
「先ほどは、『義姉君』とは言ってなかったではないか」
兄に聞き返されて、弟は顔を赤む。
「聞こえていたのではないですかっ」
紀有朋の
「望行は、兄の
遍昭が驚く。
女は、
「
有朋が言う。
さすがに
「親が
「私も、まだ
望行も言い
望行が言い分く間に、女が顔を上げた。
紀貫之が
女は振り返り、俺を見た。
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