第7話 ほっこりとお喋り
田村佳織と瞳が名刺交換しているのを見て、吹奏楽部グループ三人が集まってきた。
「佳織の演奏会、原さんも聴きに来るの?」
ホテルフロントスタッフの仕事をしている三原真弓が興味深げに話しかけてきた。
「都合がついたら」
「じゃあ、そのうち会場で会えるかな。佳織の演奏、とても素晴らしいの。いつも心が洗われるよ。日頃のストレスから解放されるし、お薦めです。それから、私の名刺も渡しておくね」
「私も」
「私も」
三原真弓に続いて、上田博子と吉井由香が瞳に名刺を差し出した。上田博子はコンビニ派遣、吉井由香はIT事務の仕事をしているらしい。
「じゃあ、私も」
瞳は三人の名刺を受け取ると、それぞれに名刺を差し出した。
「よかったら、連絡してね」
田村佳織に続いて三人がにこにこ微笑んだ。瞳はなんとなく吹奏楽部グループに仲間入りした気分でほっこりした。それとなく、野球部のグループの方に目を遣ると南祥子もすっかり打ち解けている様子だ。
「そういえば、五年前の同窓会には原さん、来なかったけど、どうしてた?」
不意に三原真弓が瞳に問いかけた。
「サークルとかアルバイトで忙しくて、行けなかったんだと思う」
「水木さんはちゃっかり来ていて、滝野君と仲良さそうにしてたよね。あの時も滝野君が幹事を引き受けてたけど、水木さん、手伝ってたのかな。とにかく、生徒会メンバーだった滝野君と水木さんは来ていたのに原さんだけ来てなくて、なんとなく気になってたんだ。で、今回は原さんは来たけど、水木さんは来てなくてちょっと残念」
「涼子は今、海外勤務だからね」
「そうだよね!なんか凄いね。でも水木さん、滝野君とは別れたんだってね」
「うん。海外勤務が決まった頃に別れたみたいだから、そのことが原因かもね」
「そうなんだ。まあ、色々あるよね。滝野君はその後、他の人と婚約して結婚したわけだから、他にも何かあったのかもしれないね」
「うん。とにかく、涼子は詳しいことは話してくれなくて、海外勤務が決まったことと滝野君とは別れたことだけ話してたかな」
「ふ〜ん。そうなんだ。ところで、原さんには今、彼氏いる?」
「私?まあ、一応、いるけど、今、喧嘩中なんだ。三原さんは?彼氏いる?」
「まあ、いるけど、まだ付き合い始めたばかりかな」
その時、いきなり、滝野龍の大きな声がした。
「そこの二人!なんか話が盛り上がってるね!」
瞳と三原真弓が顔を上げると龍は徐にこちらに向かって歩いて来た。
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