第3話 久しぶりのお喋り

 気さくで人懐っこい龍の笑顔に瞳は内心ドキッとした。そう、あの頃もこの笑顔で生徒会に誘われ、瞳は書記を引き受けたのだった。


「高校卒業以来ずっと音沙汰なかったけど、瞳、元気してた?南さんも久しぶり!」

「この通り、元気よ。龍も相変わらず元気そうね」

瞳は内心ドキドキしながら愛想笑いを浮かべた。

「滝野君、幹事、ご苦労さま」

南祥子も瞳の隣でにこにこと微笑んだ。


「そういえば、涼子は今、海外で来れないって」

「そうなんだ。返信なかったから来ないのは知ってたけど」

「涼子とはもう連絡とってないの?」

「ああ、もうとっくに別れたから。瞳も俺と涼子が別れたこと知ってるだろ?」

「もちろん、知ってるけど、龍が結婚したこと涼子から聞いたから、連絡は取り合ってるのかなって思って」

「もしかしたら、大学時代の友人から噂が流れたのかもな」

「まあ、龍は昔から顔が広いからね」

「そうそう、こうして幹事も引き受けたり。今日は楽しんでってよ、じゃっ、またあとで」


龍はそそくさとその場を離れ、次の来訪者たちの輪に入っていった。


「滝野君、相変わらずかっこいいなぁ。結婚しちゃったなんて、残念。原さんは滝野君がどんな人と結婚したか知ってる?」

「知るわけないでしょ」

「でも、滝野君の結婚のこと水木涼子さんから聞いたってさっき言ってたから、知ってるのかなって思って。そうか、滝野君と付き合ってたのは水木涼子さんだったのね」

「まあ、涼子が滝野君と付き合い始めたのは高校卒業してからだけどね」

「ふ〜ん、そうなんだ。私はさっきも言ったけど、てっきり高校時代、原さんが滝野君と付き合ってるのかと思ってたからね。ところで、原さんは…結婚してる?」

「まさかまさか。南さんは?」

そう言いながら、喧嘩中の翼のことが脳裏をよぎり、瞳はドキッとした。

「私は女子大だしコロナの影響で彼氏すらできないまま、なんとか就職はできたけど、職場恋愛は敷居が高いし、このまま彼氏いないままっていうのも不安だから婚活でも始めようかなって最近思い始めたところかな。今日の同窓会に参加したのだって、実は合コン感覚だったりして。だから、滝野君が結婚しちゃったことがわかってホントがっかりだよ」


 その時、演台でマイクを持った龍が司会挨拶を始めた。

「みんな、今日は集まってくれてありがとう!久しぶりにみんなで食事したり、雑談して、盛り上がろう!これから順番にマイクを回すから、近況報告をよろしく!」


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