ーデートー4
「ま、まぁ……とりあえずさ、司には現代という時代を楽しんで貰おうかな? とりあえず、先ずは服屋さんに行って、司に似合いそうな服を選ぼうか? それからは、せっかく今日は外に出て来たんだから、映画にどっかの展望台っていうのもいいのかもしれないよね?」
そう利之の方は目を輝かせながら言うのだ。
「それに、僕の方も最近、都会に出て来たようなもんだから、世界一の展望台とかにも行った事がなかったし、一人で行くのもどうかと思ったから、丁度、司がいて良かったのかもね。 しかも、僕が女装してれば一般人には全く僕の事バレてないしー!」
そう言う利之は本当に今日は楽しそうだ。 きっと今まで友達という友達もいなかった訳だからだろう。 有名人というだけあってか、オフの日に外に出る事自体あまりしてなかった事なのだからなのか、今日の利之というのはきっと今まで以上にはしゃいでしまっているのかもしれない。
それにどっからどう見てもただのカップルでしかないのもあるのだが、毎日のように有名人であるが為に視線を気にしていた所が、今日は女装しているからなのか、全く持って視線を感じなることの無い開放感からなのか気持ち的に嬉しそうに思えるのだ。
「とりあえず、気軽に入れる洋服屋でいいよね? いや、僕的には全然ブランド物とかっていうのは着ない訳だし……ま、司的にもブランド物っていう感じはしないしね」
二人洋服屋へと入ると、利之の方は司が似合いそうな服を選び始めるのだ。
「これなんか、いいんじゃないかな?」
紺色のTシャツを手にし、利之は司の体に当ててみる。
「ま、司の場合には、一人で外に出るって事はしないだろうから、気軽そうな感じでいいと思うのだけどな。 後はハーフパンツ位でいいんじゃない? あー、でも、たまにこうして外に出るのだから、そっち系の服も買っておいた方がいいのかもね。 今は夏だから、カジュアルな感じで、Tシャツにオシャレなジャケットに七分位のズボンがいいかもね」
そう言いながら利之の方は洋服を選び、司へと渡すと、
「これを、試着室で着替えて来てくれないかな?」
「へ? 試着室って?」
その司からの質問に、利之の方は手をポンっという感じで叩くと、
「あ! そうだよねぇ。 そういう事、司は知らないんだもんねぇ。 って、そもそも、昔の洋服屋とかって、どんな感じだったの?」
「え? あ、そうだなぁ。 ま、体の寸法を測ってもらって、それで、作ってもらったっていうのかな?」
「あ! 成程! こう今みたく、同じ洋服が並んでるっていう訳じゃなかったっていう事ね」
そこで一旦話を止めると、利之は、
「あー、成程……今で言ったら、オーダメイドで服を使ってもらっていたっていう事か……」
そう独り言のように呟き一人納得している利之。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます