ーデートー1
そんなリアクションをしてしまっている司に利之は吹きそうになりながらも、
「僕はここにいるでしょう?」
「……へ? え?」
流石にこの四日も司は利之と一緒にいるのだから、利之の声には反応しているものの未だに目をパチクリとさせていた。
「……へ? え? え?」
確かに利之の声に反応しているものの、わざとなのか本気でなのか、司は辺りをキョロキョロと見渡してしまっている。
そんな司の反応に段々とおかしくなってきたのか、利之は、
「司……」
そう利之は優しい口調で司の名前を言うと、司の側へと近付き、
「僕はここにいるんだからね……」
そう言って利之は司に言うのだ。
流石にそんなに近付いたなら司だって利之だっていう事に気付いたようで、
「り、利之……本当に利之……なのか?!」
まだ全然疑っていそうな司の口調に利之の方もどうしたら司に言えば分かってもらえるのかが悩ましい所だ。
そう! 利之は今、変装をしていて、しかも、その格好というのは女性だからだ。 だから司からしてみたら利之がいなくなったと思ってしまったのであろう。
だからなのか司は利之が何処に行ってしまったのか? というのを気付いてないという事だ。
仕方無く利之は司に分かってもらえるようにとカツラを取り自分はここにいるよ。 とアピールする。
「ねぇ、司……これで分かった? 僕だって事がさぁ」
「へ? あー! 確かに、利之だー!」
そう指を指してまで言ってくる司に吹き出しそうになるのだが、
「ま、そういう事だから……」
その利之の言葉に司からしてみたら再びハテナマーク状態のようだ。 首を傾げて利之の事を見てしまっているのだから。
そんな司に利之は、
「だからさ、なんて言うのかな? これを説明するのは難しいんだよな? まぁ、簡単に言えば、僕は、有名人じゃない? 有名人が外を歩いていると人が僕の所に集まって来てしまうんだよ。 そしたら、司とデート所じゃなくなっちゃうじゃない? だから、僕の方が変装したって訳……。 それに、僕の方がこういう変装にには慣れているだろうから、今日は僕の方が女性の方になったんだけどね。 それにね……この時代でも男性同士で手を繋いで歩いていたら変に思われるし、そう! 僕的にはさ……やっぱ、恋人とは外で手を繋いだりしたい訳さ……だから、僕が女性に変装したって訳。 司の時代にはもう忍者っていうのはいなかったのかな? ま、それが分かれば忍者だって変装はするでしょう? それと一緒って言ったらいいのかな? んー、なんか違うような気がするけど……ま、変装をするって所は一緒って事かな?」
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