ー恋人になれた朝ー3

「あのさ、いつもは、僕が朝忙し過ぎて何も作って上げられなかったけど、今日は時間があるから何か作ろうと思うのだけど、何が食べたい?」


 ベッドから降りた早々に利之は司に向かってそう問うのだが、なかなか返事がないようにも思える。


 そこに頭にハテナマークえお浮かべたのは利之の方だ。


 まだ司はベッドの上に半身を起こした状態でいたのだが、司は利之からの質問に答えずに寧ろ下を向いて悩んでしまっているようにも思える。 そんな司に利之は近付いていって、


「ねぇ、司……朝ご飯、何がいいの?」

「……あ、いやな……利之にそう聞かれても……どう答えていいんだろ? って思ってな……私のいた時代と今現代の食事って昨日から体験しているのだが、違うような気がしてな。 おにぎりだってこう何かビニールって言ってか? そういうのに包まれていたりする訳で……おにぎりがあるというのは分かったのだけど……他に何があるんだ?」


 その司の言葉に利之の方も納得したようで、


「あ! そういう事ねっ! 食文化の違いっていうのかな? あー、そこ、僕的に忘れてたかもー! そうだよねぇ、司と僕の時代では食に関しても違うんだったよね? じゃあ、逆に僕が適当に作って司に食べてもらえばいいかー!」


 そう自分で納得した利之だったのだが、最近、忙し過ぎてスーパーさえも行ってなかった事を思い出したようで、


「あ、冷蔵庫の中……何も入ってないや。 そこは後で買物に行くとして、とりあえず、司出掛けようか?」


 そう司に提案すると、利之は再び動き始める。


「僕さ、出掛ける前にお風呂に入るの癖みたいなもんだから、僕がお風呂から上がるまで適当に待っててくれないかな?」


 そう言って利之はお風呂場へと向かうのだ。


 司は利之にそう言われて、ソファへと向かうと、いつものようにテレビを点ける。


 この時間だとニュース番組がメインの時間帯のようで、どのチャンネルに替えてもニュースしかやってない。


 司からしてみたら現代のニュースというのは、つまらないものでしかない。


 そう司は過去から来た人間なのだから、現代のことについては全く分かってないという事だろう。


 要はこの現代において司というのは子供と一緒なのだから。


 子供というのは、まだまだ世間の事について分からない事だらけなのだからニュースはつまらないと思ってしまっている。 つまり司もそういう事だ。

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