ー恋人になれた朝ー1

 きっと今の二人は夢の中でも会っているのかもしれない。 これだけお互いの事を想っているのだから。 


 そう夢というのは誰かがその人の事を想っていると出てくるとも言う。 だからきっと今の二人はそういう事なのであろう。


 そして次の朝、利之が目を覚ますと隣りで寝息を立てて寝ている司の姿に安心したようだ。 いや最近いつも朝利之は司の顔を見ては安心しているのかもしれない。


 利之は今日は久しぶりに仕事がオフの日だ。 だから、いつももゆっくりしているもんなんだが今日はもっとゆっくりとした時を過ごそうとしているという事だ。 そういつもなら起きた途端に珈琲でも作って窓際で飲んでいる所なのだが今日は違う。 こうして未だに布団の中で恋人の顔を見ながらボッーとした時を過ごすのもいいのかもしれないとでも思ったのであろう。 隣りで未だに寝息を立てて寝ている司の方に視線を向ける。


 しかし恋人というのはどんな仕草や行動というのは可愛いもんだ。 しかも寝てる時というのは本当に無防備で一番人間の中では可愛いと思う時間なのかもしれない。 それが恋人や子供なら尚更だ。


 起きていれば何やら口答えしたり変な事を言ったり何かと子供でもうるさいもんなのだが、寝てる時というのは何も言わないのだからそこが可愛いと思えるという事だろう。 実際、寝顔というのは可愛いのだから。


 流石に司と利之は口論さえもまだしてないのだが、やはりそこは恋人だから可愛いと思えてるのであろう。


 利之はそんな無防備な司の髪へと撫でるようにして触れてみる。


 最初見た時の司というのは、流石に昔の時代から来たと言っていただけあった。 若干ではあったが髪の毛は乱れ、こうカサカサしてそうな髪質に思えたのだが、今は気持ちシャンプーのおかげなのかサラサラになったように感じる。 いや元から司の髪の毛というのはサラサラだったのかもしれないのだが、昔の人間というのは今のように毎日お風呂に入るという習慣も無ければ今のようにシャンプーという物の質みたいなのも違っていたのであろう。 肌だってそうだ。 今現代では男性だって肌のケアはするもんなのだが、司がいた時代というのは全くそういうのはなく、きっと顔だけをお湯で流してたという時代だったと思う。 いや今現代においても本当に男性がスキンケアするようになったのは最近の事だ。 そう利之は俳優と仕事をしているからなのか、肌のケアというのは欠かせない。 そのおかげで洗顔フォームというのは置いてある。 司にもそれを薦めたのだから、今は司の肌もすべすべである。


 そんな肌に利之は触れてみる。


 最初ガサガサしていた肌が今では肌ケアしているおかげでか司の頰も今はツルツルとしているようにも思える。


 後は食べる物も現代に来て変わったからであろか気持ちふっくらとしたようにも思えるし、唇だって潤っているようにも思える。 ピチピチという言葉が今の司にはピッタリなのかもしれない。 まぁ、年も一応二十歳を過ぎたばかりなのだから今の司にはピチピチという言葉が似合っている年頃だ。 そし司の場合には体がほっそりとしているのだが、筋肉質な体だ。 しかしこの時代に生きている人間なのに気持ち的に色白にも見える。 司はその時代でどんな生活をしていたのであろうか。


 確かに話の中ではからくり職人みたいな事を言っていたのだから、司は屋内で仕事をしている事が多く屋外に出る事が少なかったのであろう。 だから基本的に司は色白なのかもしれない。

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