ー人の温もりー1
そう利之の場合には今の司のように瞬殺では寝る事は出来ない。 だからこうして寝る前には必ずスマホをいじってしまう。 寝る前スマホやゲームはしない方がいいと言うのだが、こう眠くなるまで横になってスマホを見てしまうのは、もう利之からしてみたら癖みたいなもんなんだ。 それに今のスマホというのはひと昔前と違って、ネットにメールにと自分が知り得たい情報等があるのだから、ついつい暇さえあれば見てしまうもんだ。 簡単に言えば、今はそのスマホ一つで世界の情報まで分かってしまう時代なのだから。
今は確かにスマホが出来たおかげで世界の事まで一瞬で分かってしまうもんなんのだが、司が居た時代というのは、電話がギリギリあったとか言っていた時代で今のように一人一台の時代ではない。 まぁ、司はからくり職人と言っていたのだから、そういう世界的な情報と言うのはわりかし伝えられて来た方なのかもしれない。 まだ飛行機も出来ていない時代でもあるのだから、外国の人が来るのは船だけだとも言っていた。 外国人が船で日本に来始めて、やっと西洋の文化が日本に入り始めた時代。 そして江戸時代のはあった身分制度も無くなり、そういった身分差別が完全に無くなった頃というのが明治時代だ。
そう利之はスマホでそんな事を調べていた。
きっと今まではそんな事興味なかったのかもしれないのだが、司が利之の所へと来て、きっと利之が司がいた時代の事が気になったのであろう。
そう利之がスマホで司の時代の事を調べ納得していると、利之の隣りでこう規則正しい寝息が聴こえて来る。
つい先日まで人の居る生活をしてなかった利之。 寝息が聞こえるだけで、何だか人の温もりを感じれるのは気のせいであろうか。
いやしかし人間というのは一度気になってしまうとトコトン気になってしまうもんだ。 スマホの隙間から見える司。 スマホの灯りで薄っすらと見える司の顔。 しかし昔の人はどんな物を食べていたのであろうか。 現代人というのはいい物を食べているからなのか輪郭が細い人も居るが太っている人もいる。 だが司の場合のは輪郭も体もシャープな感じがする。 要は痩せているという事だ。 確かにスマホで調べてみても明治時代やその辺の人達のイメージというのは比較的痩せている人が多いのかもしれない。 この時代辺りから西洋の文化が入り始めて来たのだから、こう西洋的な食べ物のおかげでもしかしたら日本人というのは太って来たのかもしれない。 やはり日本人の体と外国人の体ではかなり違うようにも思えるのだから。 確かに造りも違うのかもしれないのだが、昔の日本人はカロリーが低い物ばかり食べていたから痩せていたのであろう。
司の髪型というのは、江戸時代では:丁髷頭(ちょんまげあたま)が主流だったのかもしれないのだが、明治時代にはきっとその髪型が終わり、今の日本人のように自由な髪型だったようだ。 真ん中分けや七三分けの髪型の人がいる位なのだから。 司は真ん中分けの短めの髪型だ。
顔はもう何というのか、そこはもう完全に日本人という顔をしているようにも思える。 そこは今と変わらないと言った方がいいのかもしれない。
しかし司の顔をいうのは色が白くてじっと見ていると女性みたいな感じにも思えて来る。 まぁ、きっと司の場合のはからくり職人と言っている位なのだから屋内で作業をしているからであろう。 光りをあまり浴びてないから色白なのかもしれない。
そんな司が気になったのか利之はそっと手を伸ばし司の頰に触れてみる。
例え色白であってもロボットではないのだから温かみがある。 柔らかみがある。 何だか、そこに安心出来るのは気のせいであろうか。
きっと久しぶりに人間に触れる事が出来たからなのかもしれない。 子供の頃は母親や父親に触れて貰ってこう安心感みたいなのはあったのかもしれないのだが、人間というのはいつの間にか親から離れて行くもんだ。 だから人間の温もりはいつの間にか触れり事は無くなってしまい不安になってしまうのかもしれないのだが、再び人に触れる事が出来る様になるのは恋人が出来てからになるのかもしれない。 きっと人いうのは誰かに触れるだけで安心出来る生き物なのであろう。
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