8ー4

  それだけでは流石に司には全くもって通じないだろう。 現に司の方は完全に首を傾げてしまっているのだから。


「じゃあ、とりあえず、動画で実験して上げようか? あ! そうだ! 動画で思い出したのだけど、司って、流石に写真位は知ってるんじゃないの?」


 そう利之に振られて再び考え始める司。 そして暫くの間の後、手を叩くと、


「あ、ああ! そうだ! 確かにそうだ! 写真はあるが……それが!?」

「写真撮ったら、それが、残る訳でしょう? ただ、それが動いてるって言ったらいいのかな?」

「あ、まぁ……利之のその説明で何となくは分かって来たのだけど、まだ、イマイチ分からないかな? そもそも、その動画っていうのはなんだ?」


 そこで利之はスマホを手に取りカメラへと切り替える。 そしてそれを先ずは司に見せるのだ。


「だからさぁ、こっちの画面を見ると、司から僕が見えてるでしょう?」


 そう言って利之は司が居る側にスマホの画面を向け利之はカメラのレンズがある方へと向かい笑顔を見せる。


「今、笑顔の僕がその画面上にいない?」

「あ、ああ……いるなぁ」

「じゃあ、そこにある白いボタンを押してみて」


 その利之の言葉に首を傾げる司。 そう白いボタンと言われても司からしてみたらボタンらしき物が見当たらないからだ。


 それに気付いた利之は特に呆れる事なく司へと近付くと、ちゃんとボタンに関して説明し始める。


 やはり今と昔とでは色々と言葉や用語だって違って来るというのか、段々と時代を追う毎に言葉だって増えて来ているのだし進化もしてきているのだから司からしてみたら現代の言葉についても知らない事は沢山あるという事だ。


 それを一つ一つ丁寧に説明し、とりあえずカメラの説明をし終えると、再び利之はさっきの位置へと戻り、


「じゃあさー、そのカメラで僕の事を撮ってみてよ」

「あ、ああ、じゃあ、撮るな」


 そう言って司はさっき利之に説明された通りに創作するのだった。


「おぉ! 利之だ! 私ってカメラを撮る技術もあるのか?」

「今のスマホは誰でも簡単に写真撮影っていうのは出来るからいいのだけど、司が楽しんでくれたんだったら良かったかな? とりあえず、これが、司が撮ってくれた僕の写真でしょう? これが、とりあえず静止画って言うんだけどね。 それから、こっちのモードにして……」


 利之は操作すると、


「僕の方にまたそのスマホを向けてさぁ、さっきみたいに白いボタンを押してくれるかな?」

「あ、ああ……」


 司は利之にそう言われて、再び白いボタンを押してみるのだが、さっきみたいに静止画はなかったようにも思える。 そこに首を傾げながらも利之の方にそのカメラのレンズを向け続ける。


「司……もう一度白いボタン押して……」


 その利之の言葉にもう一度白いボタンを押す司。 そして利之は司からスマホを貰うと再び操作し、


「じゃあ、見ててよー。 これをこうすると!」


 今さっき司が撮ってくれた動画をスマホ画面に出してくると再生する利之。


「司が撮ってくれた僕がここで動いてるでしょう? これが、動画っていうんだけど……」

「あ! 成る程! そういう事なのかー!」


 とどうやら司はその利之の説明で動画と静止画の違いは分かってくれたようだ。


 そこから、また説明に入る利之。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る