7ー7

「あー、私の歳か。 私は二十三歳だ。 だから、まだ、奥さんや子供はいないなぁ。 ただ小さい頃から父親もこうからくり職人で私もそんな父親を見て育って来たもんだから、多分、自分もそうなってきたっていうのか、見て来たからこそ、多少の知識はあったもんだから色々と作って来たっていうのかな?」

「あ! 成る程……。 って、その司が言ってるからくり職人っていうのは、今で言ったら家電とかを開発している人って事になるのかな?」


 そういった事に全く知識がない利之は今度天井の方に視線を向けながら司に聞いている。


「え? あ、まぁ……現代で言ったらそうなのか? そこは私にも分からない所なんだがな。 今は利之が言っていたように電気がメインで物が動いている時代なのかもしれないのだけど、私の時代というのはまだ電気関係は動いてもいないからなぁ。 そうだなぁ、火がメインで動いているって言ったらいいのか? 明るく照らしてくれるのもガス灯だしな」

「あ、そういう事ー。 今のように電気がメインじゃなかったって事なのかぁ。 じゃ、もし、司が明治時代に戻る事になったら、今でいう電気の文化を持って帰ったら? 司がその時代で有名になっちゃうんじゃないのかな?」

「んー、確かにそれはそうなのかもしれないのだが、それは、なんか違うような気がするんだよなぁ? やはり、そこは時代時代で変わって行くもんだし、私自身もよく分からないのだが、歴史は変えてはいけないような気がするしな。 確かにそりゃあ人間なのだから自分が有名になりたいっていう願望はあるのだけど、例えば、私がこの時代に来て、電気という文化を、このまま明治時代に持って帰ったとしよう。 すると、私の時代から未来が変わってしまう事になって、今現代の方が色々と変わってしまうっていう事になってしまうのではないのか?」

「……へ?」


 今まで楽観的に司に提案して来た利之だったのだが司のその言葉に裏声を上げ考えるかのように天井を見上げる。 そして暫く何かを考えた後で今度司の方に視線を向け、


「あ! そういう事ー! やっぱ、司ってそういうからくり職人っていう位なんだから頭がいいみたいだよねぇ。 まぁ、確かに司の言う通りなのかもしれないよね。 例えば、司がそのまま今現代の技術である電気を明治時代に持って帰って司がそれを発明したという事になったら、今までの歴史ががらりと変わってしまうって訳だ。 まぁ、先にエジソンが電気を発明してるっていう話だから、日本での電気発明家というのは司という事になる。 確かにそれは何か違うのかもしれないよねー。 って、司はからくり職人って言うけど発明家とは違うの?」

「え? それはどうなんだろ? 私の家では確かに色々と物は作って周りの人間に配ってみて感想とかは聞いているのだが、発明家とからくり職人の違いは? と聞かれると、違いはあるのであろうか?」


 そう利之に質問され考える司。


「んー、そこは流石に分からないのだけど、ウチの家系ではそう言ってるって言った方がいいのかな? それにエジソンは世界的に有名というのか私達の耳には軽く入って来るものの、こうあの時代で電気と言われてもまだ私にはピンとはきてないっていうのかな?」

「あ、そっか……そういう事なのかな? 確かに電気を作るには科学的な感じで作られる物だけど、からくりというのは目に見える物を作るっていう表現の方がいいのかな? そう言われると確かに分野が違ってくるのかもしれないなぁ」


 司にそう言われてそこは納得する利之。


「じゃあ、とりあえず、司はそのからくりの方が得意っていう事になるんだね!」

「まぁ、そういう事になるのかな?」

「まぁ、そこは僕にはわからない分野って事になるからさ、とりあえず、司はこれからその明治時代に戻れるように、何かを作って行くって事でいいかな?」

「まぁ、とりあえず、そういう事になるな……」

「そう言えば、司はこの時代に来る時に何で来たの?」


 確かに利之の言う通りだ。 確かに司はからくり職人と言っているだけで、こう現代へと来た物というのか、一体どうやって来たのであろうか。 漫画の世界でならタイムマシンみたいなのは聞いたり見たりとかはしているのだが。

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