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「そっか……確かにそうだよね。 もし、僕もそういう技術者だったら興味湧くもんなぁ」
そう利之は独り言を呟いていると、
「あ! そうだ! 明治時代の電気ってどうなってたの?」
と今度は利之の方が明治時代の方に興味を持ったらしく司に聞くのだ。
「私の時代には、まだ、電気というものは多分なかったな。 主にその時代の夜の灯りというのは、石油ランプか蝋燭だったからな」
「流石に石油ランプっていうのは無いけど、蝋燭だったら、まだ、この時代にもあるよ。 地震とか起きた時に電気が使えなくなるから非常時には使うみたい。 後は誕生日とかね」
利之はその司の言葉で立ち上がった所を見ると、どうやら蝋燭を探しに行ったようだ。 そして蝋燭を見つけてくると、
「これ! って、司が生きてる時代から蝋燭っていうのはあったんだね」
「蝋燭に関してはその前からあったみたいだぞ。 だって、私が小さい頃にはもう部屋の灯りとして使われていたからな」
「そうなんだね。 そう考えるとやっぱ蝋燭とかっていうのは歴史を感じるっていうのかな? しかし、ホント人間って凄いよね? 誰がどういう風に考えて来たっていうのは分からないんだけどさ……灯りだって、司が住んでた時代には蝋燭やガス灯や石油ランプだったのが今や電気になって夜をこんなにも明るくしてくれるんだもんね」
そう利之が感心していると司の方も天井の方へと視線を向ける。
「……って、この上に付いてる灯りというのは、電気っていうのか?」
「電気っていうのか照明っていうのかな?」
「照明っていうのか。 これは、何で作られているのか?」
その司の言葉に少し考えながらも、利之は、
「白熱灯でいいのかな?」
「白熱灯!?」
司は利之のその言葉におうむ返しでこう驚いたように言うのだ。
「……へ? あ、あー! 司がそんな風に驚いたって事は……もしかして、司の時代にはあの有名な発明家さんが居たって事!? 白熱灯を開発したっていう!?」
利之の方もこう驚いたように司の事を指差しながらもそう聞くのだ。
「……そうだ! 明治時代にその有名な発明家さんが居て白熱灯を発明してたんだ」
「あ、そういう事かー。 って、その時代だと、海外の出来事ってどう回って来るの?」
「その頃には有名な日本人達が世界を飛び回って西洋文化を入れ始めた時代だったから、郵便やら鉄道やら電話やらと連絡手段というのは全国で増えつつあったのかな?」
「あ、そういう事ー。 ってさ、初めて司に会った時に僕が聞いた事あったよね? お金ってどうなの?」
「お金かー?」
そう思い出したかのように司は言うと今履いてるポケットの中を漁るのだが、お金がない。 慌てたように立ち上がると、
「ない! お金がない! これの中に巾着を入れておいたんだが……」
その司の行動に一瞬、利之は首を傾げたのだが、
「あ、あー!」
と何かを思い出したかのように利之は立ち上がり洗濯機の方へと向かう。 そして直ぐに戻って来るのだ。
「ねぇ、もしかして、この中に入ってる?」
そう利之が取りに行ったのは、昨日司が履いていた袴。
「あ、あー!」
それで司の方も思い出したのであろう。
「そうだったな。 昨日、お風呂に入る時にこの袴脱いでたんだっけ?」
そう言いながら司はその袴にあるポケットを漁ると、さっき言っていた巾着が出てくる。
「これだ!」
そう言って利之に言われてお金を取り出す司。 それを手にすると、
「……へ? これが明治時代のお金?」
「あ、ああ、そうだ」
利之はその司が持っていたお金を灯りに照らして見てみるのだが、やはり利之では分からないようだ。
「やっぱ、質屋っていうのか、リサイクルショップっていうのか、そこに持って行ったら、どの時代のお金かどうか? っていうのが分かるのかな? あ! ネットで調べればいいのかー!」
そこに納得すると早速調べ始める利之。 もう明治時代から司は来たというのは分かっているのだから検索ワードというのはかなり絞れてくるだろう。
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