ー発見!ー7ー1
「じゃあ、だから、この時代に来れたって事ー!?」
そうもしかして!? みたいな感じで少し興奮気味に言う利之。
「要はそんな昔からタイムマシン的な物があったって事だよね」
利之は自分に言い聞かせるように独り言を漏らす。 だが次の瞬間には司の方へと振り向き、
「じゃあさ、司はこの時代に来て、逆に色々と学んで行った方がいいんじゃないのかな? そしたら、もしこの時代から司がいた時代へと戻れた時に、司が先頭になって商品開発していけば、今現代に向けて色々な技術を語り継げる事が出来るんじゃないのかな?」
利之はおにぎりを最後まで食べ終えると、役者としての癖なのか立ち上がりオーバーリアクションまでして話始める。
「そう簡単に行くのかな? 多分、私達の時代と利之達が住んでる時代では部品までも変わって来てるしな」
そう司の方は利之の簡単な言葉に冷めたように返す。
「え? ……そうなの!?」
そういう事に関しては全く素人な利之。 だからなのかそう簡単そうに口走ってしまっていたのだが、それは完全な机上の空論でしかないのかもしれない。
「例えば、このテレビのリモコンの素材だって私達からしたら何で出来ているのか? っていうのも分からないしな」
「……え? これは流石の僕でも知ってるよー。 プラスチック!」
自慢げに答えたつもりだったのだが、
「確かに利之の言う通り、これはプラスチックっていう素材なのかもしれない。 それはあくまで素材であって、どうやって作られているのか? っていうのは分からないのだろ? そう私達はそこも必要なのだよ」
昨日まではあまり喋ってくれなかった司なのだが、今日は聞くと何でも答えてくれるようになったようにも思える。 いや寧ろ会話が成り立っているように思えるのだが、何かこう司と利之の間では話のズレが生じていた。
「あ……」
そんな事に気付かされた利之は今まで興奮気味に立って話をしていたのに、急に司に否定されてしまった事で再びソファへと腰を下ろすのだ。
「ねぇ、でもさぁ。 司の職業っていうのは……その……司的にはからくり職人みたいな事を言ってたけど、って事はさぁ、要は司はこの時代に来れたのは、自分で作ったからくり物で未来の世界へと来れたって事でいいのかな?」
今までの司の話で利之はそこまで推理したのか確かめる為に司に問うてみたようだ。
「あ! そうだ! そうだ! それで昨日、気付いた時には私はこの世界に居たって事なんだよな。 って事はある意味、実験成功って事なのかな?」
そう半分独り言のように言っている司。 そして一人納得している。
司の話を聞いていた利之は、
「じゃあ、司は何かを作れる技術を持ってるって事なんだよね? あー、だから、朝本を読む事が出来たんだー。 あー、それなら納得っていうのかな? なんか、僕は昔の人って学校に行ってないっていうイメージがあるから読み書きっていうのは出来ないって思ってたんだけど……司の場合にはそういった感じの職業に就いてるんだったら読み書きは出来るっていう訳だ」
何だか司と話をしているうちに徐々に司の事が分かって来たようにも思える。
「じゃあさ、読むのはやってもらったから書くのはどう?」
そう言って利之が司に渡したのはタブレットだ。 それにはタブレット用のペンみたいなのが付いていて、利之は司これで文字を書くように促す。
「とりあえず、自分の名前かな?」
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