ー過去と未来文化の違いー6ー1

 今日は利之の家にいる司。 しかしこの時代に来て見る物は全て初めてで触れるのも初めての物ばかりだ。


 流石に明治時代に電化製品という物は無いのだから現代の物については何でもボタン一つで動いてしまうのだから毎回毎回、物を動かす度に司は目を丸くしてはビックリする程のリアクションをしていた。 いや、それが人間として当たり前な反応なのかもしれない。


 例えば自分が未来へとタイムスリップしてしまい、その未来で見た物が今現代の物より優れていたのなら、そりゃあビックリするに決まっているだろう。 これが科学者なら中身はどうやって動いているのかを見て、それを現代へと持って帰って研究とかして未来へと繋げるのかもしれない。 人類は今までそれを繰り返して来た。 本当に今までどれだけの人が物を作るに当たって研究に研究を重ねて来たのであろうか。 洗濯機というのは当然、司が居た明治時代には無い物だ。 寧ろ機械なんて物は無い時代なのだから洗濯板とタライで洗濯をしていたという時代だろう。


 それから時代は変わって手動ではあったのだが、脱水機が手で回し脱水する物が登場し、二層式の洗濯機と全自動と現代へと至っている。 テレビだって最初登場した時にはまだモノクロだったのだが、今現代においてはカラーになってきているのだから。 そう考えると司が居た時代というのは約百五十年前の明治時代。 短い年月をと言うのか長い年月をというのかは人によって違うのかもしれないのだが、その年月で人間の生活にそれだけの進化があったという事になるのであろう。


 司からしてみたら本当に現代の生活というのは便利でしかないと思うのかもしれない。 家事というのは全部が全部手動という時代。


 だけど今という時代というのは、機械が多い時代だ。 そう司が考え事をしている間にも何処かで機械音が聞こえて来る。 いや寧ろテレビ以外にも色々な機械音が聞こえ始める。


 ここは備え付けであるのかキッチンからはお皿を全自動で洗ってくれる食洗機の音、床を綺麗にしてくれる全自動掃除機の音、全自動洗濯機が作動を始めた音と本当に様々な家電がタイマーによって動き始め、司はその音の方へと視線を向けるのだ。 すると床の方では縦横無尽に動き回る全自動掃除機。 勿論、司が座っているソファの下をも通過して行き司は思わず足を上げてしまっていた。


 しかし司からしてみたら、全くもって今床を這い回っている物が何だというのは分かってないようで首を傾げながらそれを見つめる。


 司が頭を駆け巡らせたって、その物については出てくる訳もなく首を傾げたままテレビ画面へと顔を向ける司。 そう司の中でテレビというのは何となく理解したようでテレビだけは楽しんでいるようだ。


 司はさっき利之が買って来たコンビニの袋へと手を伸ばす。


 しかし本当にこの中には色々な物が入っていて、その物にも首を傾げる司。 確かにさっき利之は食べ物や飲み物を買って来てくれたとは言っていた。 だが、それぞれこう袋に包まれていて実際問題どう開けていいのか? 分からない所だ。 そうそこまで利之には説明してもらえなかったのだから。


 とりあえず、利之が言っていたおにぎりを手にしてみる司。 確かに袋の中にあるのはおにぎりっぽい形はしている。 だが、その袋をどうやって開ければいいのかが分からない。 寧ろ、この袋さえも司からしてみたら邪魔な存在だ。 司の時代だったら、おにぎりを包んでる物というのは竹の葉っぱで紐みたいなので簡単に包まれている物だからだろう。


 司は見るだけ見て、そのおにぎりをテーブルの上へと置く。


 結局見てるだけでは開け方なんていうのは分からないからだったからだ。 そう司にとって現代の物について知識も無いのだから、どう考えたって初めての物に関しては何もかも分からないと言った方がいいだろう。

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