2ー3

「とりあえず、司……お風呂に入ってきなよ。 洋服は僕のでいいかな? ってか、まぁ、正確には僕のしかないけどね。 司は逆に僕より小さいから洋服は問題無いと思うしー。 大は小を兼ねるっていう位だしさ」


 利之は司の事をジェスチャーで立たせると、お風呂場へと向かわせる。 だが司の方はさっきから首を捻らせたり傾げたりを繰り返していた。 その司からのサインに全くもって気付いてない利之。 それとも利之は司が過去から来ている人間だという事を忘れているのであろうか。


 とりあえず利之は司を風呂場まで案内し、


「とりあえず、ここがお風呂だからね。 流石に初めて来た家なんだから、お風呂場の場所が分からないと思ったから連れて来ただけだからさ」


 そう言うと利之は司を脱衣所まで連れて来て、脱衣所から去って行く。


 とりあえず利之はお風呂場の電気は点けて行ったものの、利之が脱衣所から出て行って五分もしないうちにお風呂場の方から悲鳴みたいな声が聞こえて来た。


「ぎゃー!」


 その声にビックリしたのは利之で急いで声がした方へと向かうと、家の廊下を裸のままで走って来る司。


 しかも濡れたままで走って出てきたのか床が濡れ挙句奥にあるリビング手前で勢いよく走って行ってしまったからなのか転けてしまっていた。


 そんな様子の司を見て利之は手を差し伸べて司の事を起こすと、


「……へ? え? 何!? ど、どうしたの!? 司……何があったの?」


 と聞くのだ。


「み、水……が……上から……」

「水が上から……」


 その司の片言みたいな言葉に少し考える利之。


「水が上からって事は……シャワーから水が出てきたって事だよね? あ! そっか! そっか! まぁ、そうだよねぇ。 お湯にするの忘れてたんだっ!」


 そうだ! そこだ! といい事思い付いた! かのように利之は手を叩き、利之は再び司の事を連れてお風呂場へと向かうのだ。


 そこで利之は司にお湯の出し方を教えようとしたのだが、再び何か思い付いたのか手を叩き、


「あー! そうだった! そうだった! 司って過去の世界から来たんだから、そりゃあ、現代の文化についていけなかったんだよね。 そりゃあ、色々な物の使い方が分からない訳だったんだっけ。 なら、一緒に入った方が早そうなのかも」


 そう独り言のような司に話し掛けているような事を言うと、早速動き始める利之。 浴槽の中にお湯を溜めパジャマを取りに部屋へと向かい再び脱衣所へと戻って来る。 その頃にはある程度お湯が浴槽に溜まって来ていたようで、


「これで、二人一緒にお風呂に入れるだろ?」


 そう言うと利之の方も洋服を脱ぎ始めるのだった。

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