第14話 産後2ヶ月

 相変わらず私のCKBは受け入れて貰えず、ムッと口を継ぐんで抵抗する。


 OPの出ないおしゃぶりでさえ受け入れたのに…。


 深く考えると心の傷が深くなりそうだったので、しょうがないと切り替える。


 搾乳は順調だ。


 生活サイクルに慣れてきたので、睡眠不足以外は問題ない。

 まあ、私は若かりし頃、人の倍ほど寝ていたので、人生トータルだとこれくらい眠らないのもアリだろう。


 搾乳は順調とはいえ、助産師さんが言っていた通り、乳腺が詰まりかけて焦ったことは何度もある。

 でも、2・3回搾乳したら詰まりは取れていたので、大事には至っていない。


 採れる量もすごく増えて、搾乳機の容器が溢れる程出ることもある。


 そんな中で気になるのは、たまに血が混じること。

 最初は黄色だった母乳も、1ヶ月以上経つとだんだん白くなってくる。

 そしてたまに痛みと共に血が混ざることがある。


 母乳は血液が変換されて作られるものらしく、変換されないで血のまま出てくることもあるらしい。

 ネット情報では、少量なら問題ないとのこと。


 でも、母乳がピンク色になるのを見たら、さすがに飲ませる気にはならず、泣く泣く破棄することも何度かあった。


 赤ちゃんは日に日にしっかりした感じになり、体重も増えている様子。


 泣いた時のおしゃぶりも、泣き止んだ後に自分の手で取ったりまた咥えたりと遊んだりしてるのを見て、あー成長してるんだ、と嬉しくなる。


 1ヶ月健診の後は割と安定しているが、それでもやっぱり

「私の赤ちゃん、返して!」

って、誰かが奪いに来るのではないかという妄想不安が常にある。



 なんやかんやでまた1ヶ月が経とうとしてる頃(生後2ヶ月のちょっと前くらい)、また乳腺が詰まった。


 今回のは手強くて、1番最初の頃くらいに痛い。

 

 何回搾乳しても、角度を変えてやってみても、詰まってる所を手で擦っても、何をしてもダメだ。


 退院する時に、助産院の一覧表をもらっていたので、いよいよ行くべきかと悩む。

 

 本当は直母のレッスンを受けたらいいかも、と言われていたのだけど、母乳外来のガッカリ感が残っていて、どうしても行こうという気にならなかったのだ。


 でも…もうそんなことは言ってられない。


 乳腺炎が酷くなると、切開することもあるとネットに書いてある。

 切るのは嫌だ。痛いままも嫌だ。


 次の日の朝まで様子を見て、全然改善しなかったので、勇気を出して電話した。


 電話をかけてみたら、最初は予約が埋まっていると言われたけど、私みたいに詰まってて痛みのある人は予約の隙間に来たら診てもらえるとのこと。


 すごくありがたい。


 でも、本当にこの痛みは助産院で取ってもらえるのだろうか…?

 

 どんなものか全然分からないので、ちょっとだけ信用してなかった。実は乳腺開通式のあのトラウマもあって、心の中は“マッサージ痛いだろうなー、痛いだろうなー”がループする。

 まあ、“ダメ元”っていう気持ち。

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