第9話 赤ちゃん来た!

 やっと赤ちゃんがNICUを出られると伝えてもらった。


 「ちょっと気になるところが…。」と言われて延び延びとなっていたのだけど、結局「心配ないですよ。普通の生活で大丈夫です。」と言われた。

 今だにはっきりとした理由は分からないまま。


 でも、赤ちゃんは元気です!



 待ちに待った赤ちゃん。

 なんと、私の退院予定日の前日にやっと来るとのこと。


 私は特殊な帝王切開で、普通分娩の人より長く、10日ほどの入院だった。NICUの期間も長かった。(普通なら帝王切開では出産後次の日に出てくるので。)


 でも…正直不安…。


 たった一晩一緒に過ごすだけで退院なんて…。


 私の実母は他界していて里帰りはできないので、自分でやるしかなく…。赤ちゃんのお世話は全部NICUの方々がして下さっていたので、お恥ずかしながらどうしたらいいかサッパリ分からない。

 お風呂の入れ方はNICUで夫の方が1度習ったけど…。


 そう思っていたら、夫の仕事の都合が悪くなって、退院予定日に迎えに来られないとのことで、退院を2日程延ばしてもらうことになった。

 他に迎えに来られる人もいないので。

 病院側も、退院には付き添いが必要なので、迎えの人の都合で全然大丈夫とのこと。


 実はこの延長期間が、私の今後の育児に大きな助けとなったのです。


 1番勉強になったのが、便秘の対処法。


 ネットで私がチラッと見かけてたのは『綿棒刺激』。



 ***ここから少し、ウエッてなる人もいるかも***


 病室に来てから、赤ちゃんの便が出てないので、助産師さんが『綿棒刺激』をしてくれることになった。


 オムツをセットしてお尻を出して準備する。

 綿棒の先にジェルを付ける。

 お尻の穴に綿棒を先端から1cmくらい入れて優しく円を描くようにグルグル回す。

 便がモコモコと出てくる。


 

 私が想像してたのと全然違う。てっきりチョンチョンとする程度だと思っていた。

 見てなかったら、こんなにしっかりグリグリ回すなんて私には絶対できない。私にとって赤ちゃんは絹豆腐くらいの扱いをするっていう印象なので。


 これはかなり衝撃的だった。



***ここまで***



 それから沐浴。


 こっちに来て1回目は看護実習生の研修のため、私は部屋で待機となったが、2回目は私が練習した。

 これも、助産師さんに手解きを受けられたので良かった。


 それと、授乳後のこと。

 NICUでも哺乳瓶で授乳してたので初めてではないのだけど、ゲップしてしばらくしてからの吐き戻しのことは知らなかった。NICUにずっといるわけではないので、見たことがなかったのだけど、ウチの赤ちゃん、大量に吐き戻すのです。


 どの赤ちゃんにもよくあることなのだけど、ウチの赤ちゃんはマーライオンになるのだ。


「これ、今飲んだの全部吐いてるんじゃない?」と聞くと、

「沢山に見えるけど、意外にまだ胃の中に残ってるよ。」

と言われたのでそれは安心する。


「でも、これ、もし寝ちゃってる時だったらどうなりますかね?」と聞くと、

「あー、溺れちゃいますね。」

って。


 この言葉は、この後ずーっと私の頭の中に残った。


 溺れる…溺れる……。


 

 この恐怖の言葉を聞いたのはその後引きずることにはなった。でも赤ちゃんの扱い方も見てもらって、「大丈夫、それでいい。」と言ってもらえ、生活サイクルも理解できたので、本当に貴重な時間を頂いた。


 そして、無事に親子で退院となる。


 入院して2ヶ月。皆に挨拶して回って見送られると、ちょっと寂しい気持ちになる。

 家とまでは言わないけど、親戚って感じくらいの親近感を覚えてたから。


 でも1週間後にまた受診するから、それで会えると思い、寂しい気持ちを紛らわした。

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