第2話 指南修了
また現れた文字の変化は。
《スキル:ゴールドショット》
・チャージ
・ラッシュ
・キャノン
どうやら発射方法の変化のようだ。
チャージは一枚以上の硬貨を溜め続け、力強く一気に発射。
ラッシュは大量の硬貨を高速で連続発射。
キャノンは莫大な量の硬貨を一斉且つ広範囲に力強く発射。
というようだ。
そしてまたどうやら、発射する硬貨は所持金から変換された硬貨に依存するようで、金貨を銀貨に切り替えてから発射は出来ないようだ。
しかも少し不便なことに、所持金は自動で上位の硬貨に変換されるようだ。
ならば俺は選択する。今必要な攻撃方法は。
「消えたまえよ。ゴールドキャノンッ!」
銀貨100枚を消費。
片腕と手の平を砲塔代わりとして、ロケットパンチの要領で発射する。
大量にばら撒かれる銀貨は銀の弾丸となり、一斉にオークの大きな体に衝撃を与える。
貫通はできなくとも、体を破壊するには十分な威力だったのか、オークは白目を剥いて倒れた。
「銀貨でも相当な威力だな……」
そしてオークはまた次第に体を金色と変色させ霧散すれば、今回は一気に5枚もの金貨を落とした。
これは良い。頂くとしよう。
倒す動物によっては貰える金の量も違うと。
さて、これが最後か。とっても分かりやすく文字に最後の指南と表れ、恐らく最後のスキルが追加された。
《ゴールドスタチュー》
「対象を純金の塊へ変化させる? なるほど、低確率で……ただし一度の発動に金貨1枚を必ず消費か」
低確率とあるが、ゲームのチュートリアルでは、こういうのは初回だけ確率が100%と相場が決まっている。
ならば目の前にいる緑の小人を一匹頂こう。
あれは恐らくゴブリン。都合よく俺の前に現れたのは、焚き火を囲んで三匹。
俺はゴールドショットで銀貨を2枚、目の前の頭を吹き飛ばし、どこから攻撃されたのかも分かっていない。困惑する最後の一匹にゴールドスタチューを発動。
最後のゴブリンに向かって指をパチンと鳴らす。そうすれば、ゴブリンは他の動物の死際と同じように全身金色に変色。
その瞬間に光沢を放つ黄金の像へ、それからピタリと動くことなく変化してしまった。
高さ五〇センチ、幅三〇センチ程のそれなりに大きい黄金像だ。
すぐに売却。結果はなんと20金貨という大金となった。素晴らしい。
そう金を手に入れれば、まるで本当にチュートリアルで捕らえていたのかと思う、ついに森の外に出られた。
急に眩しい陽の光が差し込み、眼前にはただ広い、地平線が見える平原があった。
「おぉ、ついに始まるのか。俺の新たな生活が。最早これは夢でもなく、幻覚ですら無い、天国とも違うだろう。
言うなれば全くの別世界。あぁ、そうだ。異世界転生というやつだろう」
金で孤独死した男が、異世界でまた金を稼ぐのか。これは神の悪戯なのか、それとも何らかの啓示なのか。
定かでは無いが、また1から金を稼げと言うならば、今度は孤独にならないように、新たな生を送ろう。
ならば一先ず金は得た。金貨20枚を使ってレベルアップだ。
俺は手の平に多くの金貨を握り込むと、一気に握りつぶす。
パリンと手の中で硬貨が潰れる感触が確かに伝わった。そして文字も変化する。
─────────────────
名前:郷 琉堂
レベル:5
攻撃:17
防御:16
魔力:20
敏捷:19
運力:5
スキル:
・ゴールドレベルアップ
・ゴールドショット
・チャージ
・ラッシュ
・キャノン
・ゴールドブロウ
・ゴールドリサーチ
・ゴールドスタチュー
────────────────
金貨20枚使ってこれほどか。もう少し上がると予想していたが、一つ上げるのに必要な金貨数の上がり幅は予想以上に大きいようだ。
現在残り金貨9枚と銀貨148枚だ。本来ならこの辺りは所持金と言うべきなのだろうが、俺にとっては残弾数と生命線の一つだ。
金貨がある程度溜まったからと、無闇に使うのは自殺行為と言えるのかもしれない。
ならば困らないレベルで稼げばいいのだ。現世ではたった一つのアイディアで億万長者と成り果てたが、今回はそう簡単ではない。
この世界での稼ぎ方を再度知らなくてはならないな。
俺は森の外に出ると、見渡す限り何も見えない平原を、ただ目的地無く歩き続ける。
森と違ってそこかしらに化け物はおらず、目の前を大きな鞄を背負った、馬に乗った男が通りすぎようとしていた。
俺は空かさず男を止める。
「そこのお前、止まれ」
「ん? おっと、こんなところに客がいるとは珍しい」
「客? 俺が?」
「あぁ、私は都市ウェルスウィーブから、様々な町や国の間を旅して商売する。まぁ、旅商人ってやつさ。
その町や国、その間で出会った人は、みんな私にとっての客ってことさ。
それと私の名前はポール。よろしくな」
このタイミングで旅商人と出会うのはあまり意味がない。この世界で金貨がどれだけの価値があるのか知らないが、お金がただの所持金では無い俺にとっては、ほぼ無一文と言っても過言ではない。
それに、売れる物も今は何も持っていないからな。もし、ゴブリンの黄金像を今持っていれば金貨20枚よりさらに高く売れていたかも知れないと今後悔した。
ただ旅商人ならば、これから役に立つ物でももしかしたら売っているかも知れない。
「ポールかよろしく。何を売っているんだ?」
「本来はこの鞄の中身を行き先の町で屋台として床にぶち撒けるんだがなぁ……片付けが面倒だから、良かったら一緒に行くか?」
「ほう、それは頼もしい。実は今ほぼ平原を彷徨っている最中だったのだ。この先に町があるのなら、是非案内してほしいくらいだ」
「まさかその歳で迷子かい。まぁいいや。少し歩くぞ。ついてきてくれ」
そういえば馬は俺より少し速めの速度で歩き出す。俺は若干の早足でついていくことにした。
森で目を覚まし、化け物を狩り、平原を彷徨っていたら、親切な人と出会うとは。幸先が良いな。
金でレベルアップ〜とにかく金を稼ぎまくって最強を目指す Leiren Storathijs @LeirenStorathijs
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