第12話 獅子継承紋と聖女の力
「あなたはちっちゃな
ぎにゃ! と嬉しそうに精霊、もといレオは鳴いた。
うん、賛成……みたいよね?
「なぜ
「だって、ほら。リベルタの手に獅子文様が浮かんだから、その記念でいいかなって」
と私は、彼の呪いに蝕まれていた左手を示した。
今はそこには、王家の継承紋、獅子の文様が燦然と輝いている。
「安直だな」と彼は笑った。
「それに、この国を守護する精霊は獅子の姿で空をかけるっていうじゃない。
この子もそんな感じで立派な精霊になるといいなって思って。
「イリス、この精霊は言葉を理解する。さっき猫じゃないと言っていたのにあまり猫だ猫だというのは良くないんじゃないか?」
「確かにそうね、ごめんなさい、レオ」
レオはしっぽを左右に振りながら、読めない目で私とリベルタをじっと見る。
それから、甘えるようにすりすりと私に頭を擦り付ける。
「ふむ、懐いているな」
リベルタは何か考え込んでいるようだった。
「精霊を従えるのは、聖女の力であることは間違いないはずだ」
彼はつぶやくと、私を見る。
「魔獣やなんかは多少の魔術が使いこなせれば使役できる。しかし、精霊は聖女以外従えることができないだろう? 精霊がこれだけ懐くのを見ると、君、聖女の力が本当はあったんじゃないか?」
私は、レオが頭を私の手に押し付けてくるのをなでながら返答する。
「うーん、でもこれって、従っているっていうのかしら?」
「魔力で命じるような、一般的な使役獣の感じとは違うことは確かだな……」
「ふふふ、これはこの子が懐っこいっていうのが正しいわよ、私が従えてるわけじゃない。そもそも、私聖魔法が使えなくて殺されかけたのよ。聖なる力なんて、あるわけないわ」
「しかし、アデネイラは歴代聖女の中でも、精霊使いとして最大の功績を残した聖女だ。そのアデネイラの選定書、本物の選定書から精霊を呼び出すこと自体、聖なる力がなければできない。それに、君は僕の呪いを消し去った」
自分の左手、王位継承権を示す獅子の文様を見ながら、彼は言った。
「イリス。君は僕の呪いを解いたんだ。解呪は聖女の専売特許だよ」
そうかしら、と私は思った。
17年間私には聖女の片りんもなかった。リベルタに聖女かもしれないと言われても、なんかぴんと来ない。
と、レオが私の胸にふいに飛び込んだ。思わず私はレオを抱き留める。
最初は軽いと思った。が、しかし両腕が、徐々に重たくなっていく。まるで、レオが何かを、私から吸い取ってるみたいに。
「リベルタ、私…ちょっと…」
めまいがする。立っていられない。昔、最大出力で魔術を使ったときの感じに似ている。
これは何かまずいわ……。
ちらりと頭の片隅に、もしかしてレオに何か原因があるのかも、という考えが浮かんだ。だって、レオが私に飛び乗った瞬間にこうなんだもの。
「イリス?」
私が最後に思ったのは、今日はリベルタを心配ばかりさせちゃってるな、なんてことだった。
リベルタが私を支えるのが目の端に見え、私の意識は暗転した。
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作者からお知らせ
ここまで読んでくださり、本当にありがとうございます!
次から第2章となります。
もしイリスかわいい!
リベルタ応援してる!
なーんて思ってくださいましたら、
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