第35話 後はこのまま眠っている間も暗黒の霧が消えないかどうかだが……
掲示板 【ダンジョン】探索初心者スレpart224
102:名無しの探索者さん
今日さあネズミ獣を倒したら肉が落ちたんだけど
みんな肉ってどうしてる?
103:名無しの探索者さん
ラッキーやん
肉が落ちる確率は1割
なかなか落ちないから食っとけ食っとけ
104:名無しの探索者さん
え? 売るんじゃないの?
いつも魔石と一緒に売ってるぞ
ゴミみたいな値段にしかならんけど
105:名無しの探索者さん
焼いて食えばいがいに旨いらしいぞ
でも他に食べる物あるしネズミ肉なんて食わんわな
106:自称天才探索者
ネズミうまーw
お前らもネズミ食えネズミw
107:名無しの探索者さん
ウシ獣の肉なんかは旨いらしいけど
やっぱネズミ獣はなあ……
108:自称天才探索者
ネズミ馬鹿にすんなw
我が家は毎日ネズミ祭りじゃーいw
109:名無しの探索者さん
こいつ頭おかしいわ……
変なのばっか食べるからやろうな
110:自称天才探索者
今日はバッタも食ったぜwウマー
111:名無しの探索者さん
バッタって地下2階のモンスターやん
お前初心者ちゃうやろ
112:名無しの探索者さん
つーか地下2階いけるなら金稼げるやろ
なんでネズミとかバッタ食ってるねん
113:自称天才探索者
アホかwいつ何があるか分からんのがダンジョンやw
お前らそんなんじゃサバイバルを生き残れんぞww
114:名無しの探索者さん
>>113ネズミとか口臭そう……消えて?
115:自称天才探索者
アホかwお前が消えろw
それに誰の口が臭いって?w
俺はモテモテwこれからお泊りじゃーいww
116:名無しの探索者さん
ウソくせーーーー
117:名無しの探索者さん
変なの食いすぎて幻覚が見えてるんやろ
そっとしといたれ
118:名無しの探索者さん
でも何があるか分からんのは事実やし
そのバイタリティは見習わなあかんね
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眠る前に再度ダンジョン地下1階へ入った俺は、一番近くのモンスターゲートの小部屋を暗黒の霧で満たした後で、イモの部屋へ戻る。
朝起きるまでの7時間、暗黒の霧を維持するためのMPを消費し続けるわけだが、LV20で習得したスキル暗黒熟練。暗黒スキルの消費MPを減少する効果もあり、朝までMPが不足することはないだろう。
後はこのまま眠っている間も暗黒の霧が消えないかどうかだが……
「おにいちゃんお帰りー」
パジャマ姿でスマホから顔を上げたイモが出迎える。イモも今どきの子らしくスマホが好なようだが……
「そういえばイモはSNSとかやってるのか?」
「SNSはやってないよー。ストーカーとか怖いし、イモはもっぱら匿名掲示板派だもんねー」
確かに天使のようなイモがSNSで顔出しでもしようものなら危険極まりない。その点、匿名掲示板なら個人情報を書き込むこともないだろうし、まだ安心か。
ただ、匿名掲示板は誹謗中傷の激しい面がある。純真なイモが煽られないか心配であるが……まあ、純真なイモ。変な書き込みはしないだろうから大丈夫か。
持ち込んだ布団を床に敷いて、俺は横になる。
「おにいちゃん。イモのベッド大きいから一緒に寝れるよー?」
……確かにいくら布団を敷こうが床は固い。将来を考えれば、腰に負担のないスプリングの効いたベッドで眠るのが筋ではある。
「寝ようよー。寝ようよー」
誰あろう肝心のイモ本人が一緒に寝ようと言っているのだ。誘いを断るのは失礼というものではないだろうか?
いや……布団を起き上がる途中で、俺は動きを止める。
イモは汚れを知らぬ女子中生。男女が一緒のベッドで眠る危険性を知らないだけなのだ。以前に生理がどうとか学校で習っているとか言っていた気もするが、俺の聞き間違いである。
とにかく。何も知らないイモの純真に付け込むような卑怯な真似をしては、俺は親父の同類へと落ちぶれる。
「すまん。お兄ちゃんは暗黒の霧を維持するため、1人で集中して眠る必要がある。イモ。ごめんな。おやすみ」
そのままイモに背を向け布団を被る。
「ぶー……つまんない」
……惜しいことをした。ではなくて集中だ。集中。
暗黒の霧を脳裏に強く意識したまま、俺は眠りに落ちた。
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翌朝。目を覚ました俺は一番に自身の能力を確認する。
脳裏に浮かぶこの感覚……ダンジョン地下1階に設置した暗黒の霧は、現在も健在。これで暗黒の霧による全自動モンスター養殖システムは、問題なく稼働できることが判明した。
──────
■Dジョブ:暗黒魔導士(SSR) LV21(↑1UP)
・スキル:暗黒の霧(五感異常、全能力減少、毒、腐食、MP減少、MP蒸発、恐怖、麻痺、睡眠、混乱、放心、封印、暗黒火傷)
暗黒火傷(New)闇の炎の傷。時間経過でHPダメージ
・スキル:暗黒抵抗:暗黒強化:暗黒打撃:暗黒熟練
・EXスキル:プリンボディ:ゴムボディ:鋭利歯:擬態:牛パワー
──────
それは良いのだが……床に敷いた布団の上で寝ていたはずの俺が、なぜベッドの上で目覚めたのだろうか?
ベットということはだ……隣を見れば当然、俺に寄り添うイモがすーすー可愛い寝息を立てていた。
イモの身体、暖かく柔らかい……
ではなくて! まさか……寝ている間に、無意識のうちに俺はイモのベッドに潜り込んだというのか?
だとしたらマズイぞ……
1人で集中しながら眠る。イモには手出ししない(キリッ)などと言っておきながら、イモのベッドに忍び込むなど……兄としてあってはならないこの不祥事。
イモが目覚めるその前に。くっつくイモの身体をそっと剥がした俺は、ベッドを離れ床の布団にもぐり込んだ。
後はイモが起きたタイミングで、何食わぬ顔で挨拶すれば一件落着というわけで……やれやれ。兄の威厳を守るのも大変である。
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