第11話 ソロでのダンジョン探索は無謀というわけだが……

俺のジョブ。暗黒魔導士。唯一の問題点となるのが個人評価が4点とかなり低いこと


いや。そもそもが本当に4点なのだろうか?


クレームを恐れてか最近の攻略本、極端に低い点数はつけない傾向があり、実際に100パーセント攻略読本でも4点以下の点数は存在しない。


そのため本当に4点なのか? 本来は1点のところを忖度されているのか? どちらであるかは不明である。


それを考慮すれば暗黒魔導士。ソロでのダンジョン探索は無謀というわけだが……それは困る。


いや、仮にも俺は高校生。別にクラスに友達がいないから困るというわけではない。


実際。今年の春から俺たち高校生もダンジョンに入れるとあって、クラスで話題になることも多い。モンスター養殖場でジョブを獲得するだけなら命の危険性も低いのだから、いっちょひと狩り行こうぜ! など誘おうものなら仲間はすぐに集まるだろう。


問題はその後だ。


同行したメンバーが優れたジョブを獲得するなら良いのだが、全員が1発でSSRを引けるなら、ソーシャルゲームは赤字で倒産する。


100パーセント攻略読本の特集によると……


■特集:あなたのジョブは何ですか?

※データ協力:日本ダンジョン協会データベース


1位:N 市民:総合評価:4.0/10点

2位:N 学徒:総合評価:5.0/10点

3位:N 奴隷:総合評価:4.0/10点

4位:N 機械工:総合評価:5.0/10点

5位:R 傭兵:総合評価:6.0/10点


Nノーマルの確率が68.99%なのだから当然といえば当然だが、過半数以上の者がNを獲得することとなる。もしもダンジョンへ同行したクラスメイトが奴隷を獲得した場合、俺はどうすれば良いだろう?


お前は奴隷だからパーティを追放する! とハッキリ言えれば良いのだが……


アルバイトに精を出すあまりクラス内で影の薄い俺がクラスメイトを追放しては、恨みを買うのは間違いない。


そしてダンジョンにおける大前提。ジョブが有効となるのはダンジョンの中だけ。いくらジョブがSSRだからといって、ダンジョンの外ではまるで用を成さずただの凡人となる。


ちきしょー。ダンジョンなら。ダンジョンの中なら負けないのに……などと言ってもただの負け惜しみ。逆恨みからいじめのターゲットになっては俺がリアルで奴隷となる。


かといって、追い出せないまま奴隷に寄生されるのも困るという。


パーティで探索するとなれば報酬の分配が発生する。魔石を売却して得た金銭をどのように分配するか?


ビジネスであるならば、お互いの働きに応じて評価点を作成。差分をつけて分配することも可能だが……クラスメイト同士が遊びの延長で潜るとなれば、全員平等に等分となるだろう。


俺はSSRの暗黒魔導士だ! もっと寄こせ! など主張しようものなら……金銭トラブルは友情を破壊する。やはり、いじめのターゲットとなり俺はリアル奴隷となって終了する。


上記を考えればクラスメイトから無作為にパーティメンバーを集めるのは考えものといえるだろう。


だとしても個人評価4点の暗黒魔導士。ソロが苦手だというのだから、パーティを組む必要があるのもまた事実。


では、俺がパーティを組むにあたり、どのような相手が望ましいだろうか?


・1つ。SSRもしくはSRのジョブを獲得していること


俺の目的はダンジョンで稼ぐこと。そして、攻略読本によればダンジョン深部は入り組み、道幅の狭い場所も多いという。


100人、200人と連れ歩けるスペースはないのだから、少数精鋭。厳選したメンバーだけで臨むのが、最も効率よく稼げるはずである。


・1つ。俺に絶対服従であること


……誤解しないでもらいたいが、これは何も俺が傲慢だから言っているのではない。


人が集まり集団となるなら率いるリーダーが必要。リーダーのいない集団はただの烏合の衆でしかなく、ダンジョン探索を円滑に進めるためにも優れたリーダーが必要。となれば……


やれやれではあるがSSRにして総合評価9.5点の暗黒魔導士であるこの俺がリーダーを務めるほかないというわけだ。


そして、こと命のやり取りが発生するダンジョンにおいて、リーダーへの造反はパーティ壊滅に直結する。つまりは俺に対する絶対服従が必要になるというわけで……


もちろん俺以上にリーダーに相応しい者がいるなら、俺は喜んでリーダーの座を譲らせてもらうが……俺を従わせたいならSSR。かつ総合評価9.5点以上のジョブを得てからにしてもらいたい。


・1つ。可愛い女性であること


やりたい盛りの男子高校生であれば当然のこと。特に言うべきことはない。


ざっと考えつくのは、こんなところか……

しかし……自分で言っておいて何だが、この条件を満たす者を集めるのは、なかなかに困難である。

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