2章。黄金モンスター肉。

第10話 俺が獲得したのは【SSR 暗黒魔導士】

翌。日曜日。

予定では品川ダンジョンにこもりジョブを獲得する予定であったが……昨日。俺は自宅ダンジョンでジョブを獲得した。


俺が獲得したのは【SSRエスエスレア 暗黒魔導士】


俺にふさわしく、いかにも強そうな名前である。

いや。名前だけではない。ジョブの前にあるアルファベットはそのジョブの希少性を示すものであり、ダンジョン協会がこれまで調査・集計したところ、おおよそ下記の確率になるという。


SSRエスエスレア:0.01% SRエスレア:1% レア:30% ノーマル:68.99%


0.01%とは1万人に1人の確率。

つまりは俺の獲得した暗黒魔導士。希少なジョブであることは分かった。


もちろんSSRで希少だからといって、必ずしも強いとは限らない。俺は100パーセント攻略読本からジョブ評価一覧ページを開いた。


これまでにダンジョン協会が調査、判明したジョブが網羅されているだけでなく、100パーセント攻略読本編集部が独断で評価した点数が記載されている。


はたして暗黒魔導士は載っているのかだが……あった。


■【SSR 暗黒魔導士】

個人評価ソロ: 4/10点

集団評価パーティ:10/10点

総合評価スコア:9.5/10点


■概要

相手の行動を阻害するデバフ魔法を得意とするジョブ。なかでも暗黒魔導士は能力を減少する弱体付与。行動を阻害する状態異常。どちらも可能な最上位ジョブであり、パーティのサポートにその真価を発揮する。


■得意な点

LV1から習得する暗黒の霧は複数の弱体・状態異常をまとめて付与する強力無比なデバフ魔法。確認できる使い手は暗黒魔導士のみである。


■苦手な点

あくまでサポート役となるジョブで、毒などのスリップダメージはあるものの、対象に直接ダメージを与えるスキルは習得しない。また、他の魔法系ジョブと同様に身体能力は低い。


■習得スキル

・LV1 :暗黒の霧:デバフ効果を与える暗黒の霧を生み出す。

・LV5 :暗黒抵抗:暗黒、弱体、状態異常に対する抵抗力上昇。

・LV10:暗黒強化:暗黒の霧が強化される。

・LV15:暗黒打撃:暗黒魔法を拳に乗せて叩きつける。対象の強化効果を1つ解除すると同時、体内にデバフを流し込む。

・LV20:暗黒熟練:暗黒の霧の消費MPが減少する。


注意するべきは、いずれも100パーセント攻略読本編集部による評価であること。そしてLV20までの能力の評価であること。


駄目駄目評価の下されたジョブであっても、扱う人によってはとてつもない活躍をすることも。LV21で突然チートスキルを手に入れることも十分ありえるというわけだ。


それでも参考になるのに間違いはなく、俺の獲得したジョブはといえば……


総合評価9.5点。また凄いジョブが当たったものである。


自分の評価が分かったところで気になるのは他のジョブ。特に同じデバフ魔法を使うライバルとなる他のジョブの評価はどうなのかだが……



【R 弱体魔法使い】

個人評価: 4/10点

集団評価: 7/10点

総合評価: 7/10点


・概要

相手の能力を減少する弱体魔法を得意とするジョブ。

攻撃減少、防御減少など、ピンポイントで相手の能力を減少させる。



【SR 弱体魔導士】

個人評価: 4/10点

集団評価: 8/10点

総合評価: 8/10点


・概要

相手の能力を減少する弱体魔法を得意とするジョブ。

攻撃減少、防御減少など、ピンポイントで相手の能力を減少させる。弱体魔法使いの上位互換と呼べるジョブである。



【SR 異常魔導士】

個人評価: 4/10点

集団評価: 8/10点

総合評価: 8/10点


・概要

相手に状態異常を付与する異常魔法を得意とするジョブ。

盲目、毒などの状態異常により相手の行動を阻害、ダメージを与える。異常魔法使いの上位互換と呼べるジョブである。



なるほど。ここまで読んで分かったことは暗黒魔導士は弱体・状態異常のどちらも可能な、ことデバフにおいては最上位ジョブであるというわけで、早くも俺の探索者人生、成功が約束されたようなものだということ。


探索者人生は獲得するジョブによって決まるといって過言ではない。


いくら現実で大成功をおさめる社長であっても、得られるジョブがカスであれば探索者としてカスである。反面、現実がゴミハゲデブニートであっても、得られるジョブが当たりであれば探索者として英雄になれる。


ダンジョンでどのようなジョブが得られるかは、獲得するまで誰にも分からない。そのような運否天賦で探索者人生が決まるのは、いささか理不尽と思わないでもないが……現実も似たようなものか。


先進国の富豪に生まれれば、それだけで人生イージーモード。途上国の貧民に生まれれば人生ハードモードとなる。そもそもが物心のつく前、赤子のうちに死ぬことだってある。


それを考えれば、日本に生まれ優しい母親に育てられた俺は運が良いといえるだろう。親父はクソだったが。

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