第14話 草加部壮介の覚悟
「弱い!もっと力を絞り出さんか!」
「はぁ、はぁ!押忍!!」
草加部壮介はヤマト爺さんにしごかれていた。
もとい修行中である。
青き炎の力を最大限まで高めるべく、S級エイリアンのヤマトによるスパルタな組み手を強いられている、というわけだ。
蛇の如くうねり伸びる手が時に殴り付け、時に締め付ける。
そしてヤマト爺さんの握力は最大で500を越える。
「ほれほれ!もっと速く!避けながら炎を練り上げるんじゃ!実戦で敵は待ってはくれんぞ?」
「んなこと言ったって避けんのに精一杯だっての!!」
掴まれるギリギリでかわしつつ、炎を発生させるが火力は弱く、放てるまでに至らない。
結局、数発の打撃をくらい、壮介は倒れこむ。
「はー…はー…タンマ…タンマで」
息があがり、汗だくで寝転んだままで壮介は休憩を要求する。
「なんじゃ、だらしないのー。まぁこのまま続けても死ぬだけだわな」
そう言うと壮介をじっと見つめつつヤマトは考えていた。
(やはり、憑いているギラとのシンクロ率は100で間違いない。今出せる限りという意味では100%の力を出しきっている。A級エイリアンを屠るぐらいには発揮できているが…このままではな)
「…なんだよ?爺さん」
問う壮介に対してヤマトは諭す。
「草加部壮介。お主の正義感、正義への憧れは邪魔かもしれん。もっと殺気を出せ。いや、殺意を持て」
意外な言葉を並べるヤマトに壮介は一瞬あ然とした。
「は?…何を言って…いやいや。奴らを倒して人を助ける。これって正義だろ?俺らはヒーロー側だろ?」
悪を伐ち、人を助け、人を守る。
壮介が幼い頃から憧れ続けてきたヒーロー。
そんな気持ちで壮介は戦ってきた。
しかし、ヤマトはそれでは駄目だと。足りないという。
「壮介よ。お主の人を助ける、守るという正義は良いものだ。だが、奴らに勝ち続けていくには奴らに対する確かな、絶対的な殺意が必須なのじゃ。全力で殺しにかかる。そんな徹底した殺意がな。お主はまだその殺意が足りないのじゃよ」
ヤマトの言葉に耳を傾けて考え込む壮介。
「要するに…俺が今持ってる正義と並ぶくらいに奴らへの殺意を持てばいいんだよな?」
「そうじゃ。怒りを、憎しみを、殺意を、じゃ。奴らを殺すことが人々の救いになる、と考えよ」
「わかった」
「うむ。では続けよう」
「へ?いや、もうちょっと回復させて」
(俺はどっかでまだ「奴らも憑いてるとはいえ元は人間だ」とか思っていたのかもしれん。甘かった。それがギラの力を抑えちまってたのかもな)
今までの自分はどこか甘いところがあった。
もっと戦いに身を置くということを自覚しなければ。
壮介は改めて戦うことへの誓いを立て、ヤマト爺さんとの修行に打ち込むのであった。
Withエイリアン~終末?というほどではないですが日本終わりかけてます! MASU. @MASUMASU69
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