第13話 高見光一少年、加入する

道場の入り口から足取り重く入ってきた高見光一。

小柄で華奢な少年は一礼して自己紹介をした。

「高見光一。小学校6年生。……強くなりたい…ヒーローになりたいです!」

一瞬、静まりかえった道場。

御影、沙夜、壮介はポカンとしていた。

ヤマトじいさんが光一に問う。

「して、お主に憑いておるエイリアンの能力はなんだ?」

光一の肩からエイリアンのジョイが恐る恐る顔を出した。

光一は言いにくそうに小さな声で「…変身…です」と答えた。

「変身…どこまで化けることが可能かの?」

ヤマトじいさんの問いに更に小さな声で光一は「ほぼ見た目だけ」と答えた。

「なんじゃ、一分にも満たぬほど使えておらんな。ま、その幼さでは無理もあるまい」

ヤマトじいさんの言葉に光一は少しムキになって言った。

「でもでも!姿は本当にそっくりに化けれるし!そうだ、逃げ足!逃げ足はめちゃくちゃ早いから!囮になるとかなんか役に立つかも…」

光一の言葉に壮介が口を開いた。

「いやいや!小学生を囮にして戦う大人があるかよ?やめとけって。第一、俺らはヒーローなんていいもんじゃねーぞ?」

そう諭す壮介に「でも!…」と光一は食い下がる。

すると意外にも次に口を開いたのは沙夜だった。

「いいじゃないか。強くなりたいってんだろ?あたしが面倒見てやる。ヒーローは戦場に出てくもんだ。戦場で生き延びるにはそれなりの地獄を知る必要がある。なら、こん中で地獄を見せるのに向いてるのはあたしだろう?」

そう提案しつつ沙夜はニヤリと笑った。

光一は青ざめた顔で「よ、よろしくお願いします…」と頭を下げた。

「ま、小僧が受け入れるなら何も言うまいて。小僧の育ては沙夜に任せるとしよう」

ヤマトじいさんは納得している様子。


一方で壮介は小声で御影に言った。

「おい、本当に沙夜の奴で大丈夫か?あのガキ、マジで殺されねーか?」

「大丈夫でしょ」

御影はフフッと笑って軽く答えた。

先ほど一戦交えた御影だからこそ感じた沙夜が持つ『何か』があるようだ。


かくして高見光一少年は戦士見習いとなったわけだが。

御影たちはそれぞれに力を極めるべく、修行は勿論、さらに激しい戦いへと身を投じていく。


ヤマトじいさんの口から語られたザクモというエイリアンの存在。

その凶悪で大きな力の影響か、これからより邪悪で強力なエイリアン憑きは生まれゆく。

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