第11話 蛇の道はエロ蛇ジジイ?

「ブッ殺す!!」

沙夜の毒々しい紫の刀が謎の老人の首を捉えた。

「おいおいマジで殺す気かよ?そりゃセクハラは許せんだろうがいくらなんでも…え…!?」

紫の刀は老人の首を切り落とすことはなく、老人の首は長く伸びて刀をゴムのように弾いていた。

「ワシの体はな、長さや強度、太さを調整できるんじゃよ。今はゴムのようになっておるが、元々はホレこんなふうに…」

爺さんの腕が蛇に変態していく。

さらに背中からも蛇の頭が4つ現れた。

「う、あたし苦手かも」

御影が少し怯む。

爺さんから生えた蛇の頭が長く長く伸びて沙夜と御影に襲いかかる。

沙夜は臆することなくさらに毒素を強めた刀で斬りかかるが、蛇の頭はうねうねと刀をかわして沙夜の上半身に巻きついた。

胸と胸の間を這い、蛇はニヤリと笑い、沙夜の首筋を舐めた。

ゾワゾワと鳥肌が立つのを感じた沙夜。

「こんの蛇野郎、あのジジイの人格そのままじゃねーか!くそっ!動けねー!」

踠く沙夜だが爺さんの締めつけは強く解けそうにない。

御影が助太刀しようとするものの、蛇への恐怖とジジイのセクハラを危惧するあまり近づけない。

「ホレホレJKよ、かかってこんのか?ならワシのほうから…」

爺さんは沙夜を捕えた蛇を体から切り離し、御影へと向かっていく。

素早く回避して爺さんの蛇を使っての攻撃をさばき続ける。

気がつけば4つの蛇の頭からの攻撃を弾いていて、爺さんそのものの姿が消えていた。

「!?あの爺さんどこへ…ひうぅっ!!?」

御影の尻には撫でるような揉むような人の手の感触、胸をアンダーから持ち上げるように締めつける蛇。

セクハラ以外の何ものでもない爺さんの行為に少し涙目、そして赤面しながら御影は爺さんを睨み付けた。

「うむ、やはり良い尻、良い胸、そして良い力じゃな。全て気にいったぞい」

そう言って2人の拘束を解き、蛇を引っ込めた。

しかし御影の尻には引き続き爺さんの手の感触が。

すかさず蹴りを入れる御影。

ヒラリと避けて御影の両腿の外側を掴み、自身の顔を挟んだ。

押し倒された形になり、股間近くに爺さんの顔がある状態である。

「若い肌、腿の感触。やはり良い良…」

興奮気味の爺さんが僅かに顔を上げた瞬間に御影が拳から衝撃波を放った。

パンチの数段上の破壊力のそれは避けきれず、爺さんは吹っ飛んだ。

爺さんは強化された壁に激突して頭から血を流して目を回していた。

「う…む、良い…良い力…じゃ」

ガクッとなって気を失った爺さんに沙夜が近づいた。

「トドメといこうか」

とんでもない殺気を放って紫の刀の切っ先を爺さんに向ける。

「ちょ、待て!待てって!」

壮介の言葉は沙夜に届かず刀を振り上げた。

「ちょっと待って沙夜姐」

御影の言葉に沙夜は止まった。

「お前、あたしよりヤられてたろ?なぜ許せる?」

沙夜の言葉に御影は首を振り話を続けた。

「したことは許してないし、まだ要警戒だよ?ただ、この爺さん、あたしたちを殺す気はなかったし、なんか力を見てたというか試してた感じがしたからさ」

沙夜も思い当たる部分はある。

「わかったよ。とりあえず、鎖かなんかで繋いで縄で縛りあげとこうぜ?目ぇ覚ます前に…」

頷いて御影と壮介が爺さんが倒れていたほうへ顔を向けると、爺さんの姿はなかった。

辺りを見回していると「あーいたたた」と爺さんの声が聞こえた。

壮介の頭の上に降り立ち、自分の顔をさすさす擦りながら鼻血を拭いていた。

「てめっ、どけよ!」

壮介が叩こうとするとゲシッと頭を蹴って床に降りた。

「まだ名乗ってなかったのー。ワシはヤマト。エイリアン憑きというより、そのものじゃな」

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