第8話 毒と刃~最強女さらに参る

(仮)のバディとなった御影と壮介。


一回りほど歳の離れた、そして性別も違う二人。

とはいえ、強力なエイリアンが憑いているという共通点はある二人なので最強コンビなのは間違いないのだが。


でこぼこコンビながらも、ここ数日で二人合わせて50ものエイリアン討伐に成功している。

また、エイリアン憑きでありながら人間自体には悪意がなく、エイリアンの侵食がしきれていなかったため、命は助かり、日常に帰った人間が30となかなか良い結果も出ていた。

そのため、『ヒーロー壮介』は上機嫌である。


「ぷはー!仕事終わりのビールは最高だなぁ♪」

そう言う壮介は5本目の缶ビールをごくごくと飲みほしてゴミ箱へ放り込む。


「ほどほどにね、壮介さん。どんなタイミングで要請あるかわかんないんだからね」

呆れ顔で言う御影はカツオのおにぎりを食べている。

麦茶を飲みほして、スマホをいじる。

ネットニュースには今や当たり前のようにエイリアン憑きが起こした事件がアップされている。

SNSにもそれ絡みの投稿は多数ある。

稀にバトルの最中を撮影したものなんかも流れていて、中には御影のちょっとセクシーなアングルを撮ったものも。

イラッとするが基本的に面倒くさくて放置している御影であった。


「…しっかしアレだな。増えねーな、仲間」

壮介は本部のソファーにボスッと寝転んでしんどそうに言った。

「ホントに。悪いエイリアンが悪い人と意気投合してばっか。全然平和じゃないわ、日本」

現状では御影の言うとおり。

エイリアン憑きの中には体を乗っ取られて操られている『被害者』もいる。

だが、残念ながらほとんどはエイリアンに憑かれ、特異な力を得たことで悪意や欲望を暴走させ、人間が自分の意志で凶悪犯罪を犯している。

強盗、強姦、殺人事件がネガティブなうなぎ登りとなっている。

人間の欲深さを思い知らされた御影と壮介、そして国民達である。


そんな中、ネットに気になる画像と動画が流れていた。

ショートボブでダークブルーの髪にスキニーパンツ、タンクトップの上に黒いジャケットの女性がエイリアン憑きと戦っている、というものだった。


エイリアン憑きの方はネバネバした液体を口から吐き出して攻撃していた。

女性が来る前にやられたらしい人達が何人か確認できた。

状態から察するに食らえば粘りで動きを封じたり、固めて殺されたりする能力のようだ。


だが動画に映る女性は余裕の笑みを浮かべて軽く避けている。


そして「マダラ!そろそろきめるか!」と言うと肩からエイリアンが姿を現した。

エイリアンが「オッケー」と言うと女性の右手に毒々しい色の刃が発現した。

「一斬必殺」

そう発して刃を振りかざした瞬間に敵のエイリアン憑きの体には斜めに1つの斬り傷が入った。

しかし、真っ二つになるほどではなく、むしろ、少し浅く斬れているように見えた。


敵のエイリアン憑きもニヤリと笑って余裕の顔を見せている。

「踏み込みが甘かったようだなぁ!これじゃ死んでやれな…ぐっ!…」

敵が苦しみだした。

先ほどの傷口からみるみる紫色が広がっていく。

腐っていっているのだ。


「ぐぬ….ああが….くそ、女ぁ何しやがっ…た…」


全身が紫色に腐りはて、崩れていって敵は絶命した。


動画の女性には毒性の能力を持ったマダラという名のエイリアンが憑いているとわかった。

そして、口調やあの様子から見て好戦的で男勝りだと感じた御影と壮介だった。


「仲間にするしか!だな?嬢ちゃん」

壮介が言うと御影は「だね!」と返した。


しかし、御影と壮介、そして二人に憑くアモンとギラ。

皆が同じことを感じていた。

「能力エグいし果たして『いい人』なのか知らんけど!」




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