第49話

事務所にはいつも、白猫がいる。


「こちらへどうぞ。お話、お伺いします」


俺は、設計事務所の窓口やら営業やら…

いや、経理?とにかくいろいろやっている。

猫のなつは気ままに寝ている。

お客様もほっとする感じもあるし、猫効果は絶大だ。


アレルギーとかもあるし、電話もらった時点で、事務所に猫がいるということはお伝えしている。なにごとも事前連絡は大事だ。


「新築みたいに、なりますか?部屋数も増やせるのですよね?」


「はい。こちらを解体し…」


四季さん、帰ってきてー

難しいこと聞かれたらわかんないよー


「いらっしゃいませ。遅くなってしまい申し訳ありません」


冬のお迎えに行ってて、ちょっと遅くなってしまったけど…ぬかりなくお話できたのでよかった。お客様との契約が成立したので、やっと安心できた。


「あなた。冬が辛そうにしてた。…秋も元気ないの」


「…冬、病院に連れて行けたらいいけど」


「冬は嫌がるからできない」


「…そうだよね」


「さて、残りの仕事済ませて、春のお迎え行かないと!」


四季さんは張り切って書類を広げた。

さて、俺も休憩しよう。お客様の飲み物を下げて、片付けて…


でも、やっぱり子供たちが心配になる。

給湯室でこっそり電話する。


「二郎?…昨日も電話したのに、ごめん」


いつの間にか、夏がいる。

俺を慰めてくれるの?よしよし。


「なんだよ。今度は春のこと?」


「うちに、遊びに…」


いや、二郎はバンドのステージがあっても、ほっぽりだしてきてしまう。だめだめ。

じっと夏に見つめられた。冬も会いたがってるよ?とでも言ってるのか?


「…来て欲しい、お願いだよ、二郎」


「は…、今から?が、いいよな?」


「ごめん、二郎…」


「…ったく!すぐ行く」


できた弟を持てて嬉しい。夏も、俺の心をいつも読んでくれる、家族である。

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season えいみ @fukuharaeimi

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