第48話

四季しきさん、デートしてみたいな」


朝から父さんは謎の発言をした。


「毎日会ってるけど」


「父さん、どうしたの急に」


「春、父さんはデートってよくわからないんだよ。だからやってみたい」


「デートは会うことでしょ?そうよね?春」


「うん、そうだけど」


「ということは、デートは既にしているということよね?冬?」


「いや、違うよ。どこかに出かけたり、2人で遊んだり」


「そうそう!そういうのだよー」


「私はパス」


母さんは旅行とかも行かない。だからトラジが連れてってくれる。


「父さんはなんでデートしたくなったの?」


「お、秋鋭い!なんか、四季さんとのデートってどんなのかなぁって」


「二郎くんとはデートしてるってことで?いいのかな?」


「そうだよ!二郎とデートしたいよね。みんなー」


話がすり変わってしまった。


「私はパス」


「父さん、トラジはバンド忙しいから無理そうだよ」


にーちゃんはトラジに優しい。


「じゃあ父さんとみんなで行こう!」


「トラジもいたほうが楽しい」


冬はポツリとつぶやいた。


「父さんもそう思う」


「トラジは父さんと遊びたくないみたいだけどー?」


「それはないよー!秋ひどいよー」


「父さんトラジにうるさく絡んだらだめだって」


にーちゃんはびしっと言ってやった。


「…また絡んじゃったなぁ」


父さんにとって、俺たちと同じくらいトラジも大事。母さんは?2人はなんか仲良しなのか謎になる。でも、ずっと一緒に仕事してるから、仲悪いわけではないんだけど。

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