season

第47話

「くそ、電話してくるな。仕事中」

あまりにしつこく電話がきてたので、うっかり出てしまった。兄貴はしつこい。

「二郎、ありがとう。みんな不安そうにしてたから…」

「兄貴が泣いてたし、まじ焦るから！ったく、心配させんな」

「冬が寝言で言うんだ。にーちゃんごめんなさいって。きっと秋も聞いたことあると思う…2人とも、寂しくなってるときあるんだよ」

「てか、冬は彼女できて、結構喜んでたけど、変化に弱いわけか？こんな楽しくていいのか？って思ってる。彼女の乳見て素直に喜べてないしな」

「な、なにその話。詳しく！」

「だめだめ。冬は俺にだけ言ったから」

「二郎だけずるい。春は？なにかない？」

「デートするのはどこがいいか」

「うわ、もてるー！すごいなー」

「兄貴はデートすんのかよ」

「いやーしたことなくて。やってみたいな」

「…無理そうじゃね」

「だね」

「兄貴、まじで言うけど、無理するな」

「わかってるって！」

「お前が倒れるとかありえねーから。早く寝ろ」

ったく。あいつ仕事しすぎだし。早く寝ろよな。電話長引きそうだし、さっさと切った。

「トラさん彼女できたんすか？ラブラブ電話？」

「そーなったらいーけどよ。じゃ、帰るわ」

バイトの河西（かわにし）に仕事を任せて帰る。

兄貴は流されやすく、なんやかんやで結婚してしまった。付き合うことを知らない。

息子たちにはしっかり俺が教えてやるからな。俺はなかなか長続きしないけど。