秋
虎二
第43話
冬は最近体調崩している。
俺が部活をやらないのは、冬が心配だから。
どうしてもと言われたときだけ参加したりしなかったり。
「冬、大丈夫かしら…」
今日は俺も一緒に母さんと帰った。仕事途中だったみたいだけど。
「俺が…いるし、なんかあったら連絡する」
うーん、俺にそんな力ないかもだけど…
「…ごめんね秋、すぐ終わらせるから」
「うん、じゃー気をつけてー。飯作っとく」
「ありがとう秋」
俺にできることなんて、そんなない。
母さんは設計事務所で働いている。そこは母さんの会社で、父さんがいつも常駐してる感じである。だから、にーちゃんと冬のことになると母さんは仕事途中でも出てきてしまう。俺がなんとかできないのが悔しい。
部屋に寝ている冬を覗くと、まだ眠っていた。冬は、俺の何倍ものことを考えてるかも?って先生が。冬のためにできることをしてあげたいけど…
晩ご飯を作っていたら、チャイムが鳴る。
にーちゃんは今日塾だし、チャイム鳴らさないし…にーちゃんの彼女?
ドアを開けたら、そこには黒髪に赤いメッシュでジャラジャラ鎖みたいなのつけてるトラジがいた。
「よぉー秋。早退とかヤンキーじゃん?」
トラジはにやっと笑う。思わず抱きついた。
「冬は寝てるよ」
「まじ?じゃ、秋と遊ぶか」
髪をぐしゃぐしゃにて、わさわさーっとされた。トラジは、父さんに聞いたのかな?それともにーちゃん?
「秋、携帯やっただろ?連絡しろよなー」
「…トラジは、仕事あるじゃん」
「はー?うっせ!上がるぞ」
のしのしと勝手に部屋に上がった。
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