第40話

あれ、また寝てたみたいだ。記憶ない。


「冬!おーい」


「秋…」


秋が上から見てる。


「無理すんな?母さん呼んだからな」


「うげ」


「まー寝ときな?」


そうか、尚巳はもう帰ったかな。久々に熱が出て、まじで運悪。体調管理ができない。そして、また寝てた。


「冬ー!」


なんだ?尚巳の声?夢?


「ゆっくり休んでね!」


「あ…」


本物だ。


「俺が連れてきた!」


秋と尚巳?


「まー!彼女?かわいい子ね~」


と、母さん?


「よーし冬、帰るぞ!起きられる?」


秋に連れられて、車へと歩く。

尚巳もついてきてて、俺を車に乗せると、秋と教室に帰って行った。


そういえば…俺、尚巳に…セクハラしたのか?やば。熱にうなされて…

でも、今日は全然考えられなくて。

帰ってもずっと寝ていた。


「おはよー冬だー」


「あ、もう、風邪いいから…」


尚巳に移してないだろうか?


「ちょ、ちょっといいか?屋上」


「やだよー今から?」


「いいから!」


勝手に手を引いて連れて行く。階段で息が上がってやばい。


「あー、ここでいい」


疲れたから、屋上前踊り場で止まる。荷物を床に置く。尚巳も置いた。


「…き、昨日、俺は熱で頭がいってて。ごめん、変なことして」


「変なこと?」


「だから、キスとか…」


恥ずかしい…なんで昨日できたのかわからない。


「別に?いいよ?」


「は、誰とでもキスするのかよ」


「違うけどー、冬が寂しそうだったし」


「なんだそれ、寂しそうならしていいの?」


「そーゆーことじゃなくて!」


「俺のこと好きじゃねーってことじゃん」


「好きだよ?」


「うそ」


「冬のことほっとけないもん」


「好きじゃないだろそれ、たぶん…」


チャイムが鳴った。


「くそ、授業」


「冬」


「なに」


「こっち見て!」

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る