第39話

「尚巳、いつもありがとう」


「もー!もう寝ときなよ!」


尚巳に怒られた。


「尚巳、抱きしめていい?」


「どしたの?寂しいの?」


そう言いながら、ぎゅっと抱きしめてくれた。


「…こうやって、俺のこと見てくれて、嬉しいよ」


「当たり前だよ?急に倒れたんだもん」


全く覚えがないが。


「あー、ごめん。…なんか尚巳いい匂いするなぁ。柔らかいし」


俺もしっかり抱きしめる。


「胸?」


「あー、そうかも?尚巳っておっきいんでしょ?」


「なんで知ってるの?見せてないのにー」


「知らん。友達が言ってた」


「嫌いになった?」


「は?なんで」


謎なこと言うから離れる。ベッドに座る尚巳をじっと見た。


「牛だから」


「牛…?」


「あのね、もっとおっきくなったらね、牛さんみたいになるの。女の子に言われたことある」


「なにそれ意味わかんない。ただ羨ましいだけだろ?」


「牛さんになるよー!もーって言ってって言われるよー」


「気にするな。人にはいろいろ違うとこあるよ?俺は白髪だよ」


「どこがー?」


「染めてる」


「ふーん」


尚巳はつまらなそうに返事してる。


「おじいちゃんになるでしょ?真っ白だから」


「そーなんだ」


「そんだけかー尚巳はほんと、いいな」


「なにが?」


「かわいい」


「…そう?胸も?いいの?牛だよ」


「牛さんね、かわいいじゃん」

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