第37話

「おー!ここ久しぶりだよー」


尚巳を連れて、ちょっと遠出して放課後デート。場所はファストフード店だけど。


「なんで?節約?」


「友達と遊ぶとき、カラオケによーく行くからね!」


「ふーん」


俺ももっと遊びたいな、なんて言えない。

2人で店内に入る。


「あ、冬くん?」


「あ…」


カウンターで、にーちゃんの彼女と会ってしまった。なんて言ったらいいんだ?


「冬?知り合い?」


「ま、まぁ」


デートしてんの見られるとか…恥ずかしい…


「おねーさん!おすすめありますか?」


尚巳はぐいぐい行く。さっきの無視?


「あ、はい!えっとこれと」


にーちゃんの彼女を慌てさせてしまった。


「たくさん食べたいなー」


尚巳はぼやいている。話聞いてる?


「俺そんな金ないよ?」


「大丈夫だよーおごるよー?」


「いや、自分のは払えるけど…」


「私お金持ちなんだよー?だから任せて!冬のもいいよ!」


なんなんだその発言は。


「じゃあ、これとーこれとー」


「そんな食うの?」


「やっぱりー」


「…尚巳、時間かけすぎ」


「じゃ選んでー」


「じゃこれ」


「うん。味見したいから、冬は同じのじゃないのにして?」


「わかってるよ。さっき頼もうとしてたの頼むから」


「やった!」


尚巳は嬉しそう。


「店内で…食べますか?」


しまった、だらだらしてしまってるのがっつり見られてるし!


「はーい!食べるー」


「先にお支払いを」


「冬!計算して」


「あの、こっちで計算できますよ?」


「…すみません。いくらですか?」


「冬!財布から出して!」


「…こんなに持ち歩くなよ」


思ったより現金が入っていて心配になった。

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