第36話

「冬、屋上まできちゃったけどー?」


ついつい移動しすぎてた。


「尚巳、友達の前ではデートの話とかするなよ」


「なんで?」


じーっと見られた。


「いや、ごめん」


尚巳がせっかく話してくれたのに、俺はなんで隠そうとしたんだよ。


「で?冬はどこ行きたい?」


もうすっかりデートの話しになってる。


「尚巳は飯食うの好き?」


「大好き!」


よし、決まった!


「…じゃ飯屋にするか」


「ハンバーガー好き」


それファストフード…ま、安いしいいか!


「わかった。一緒に行こう」


「いつ?今日がいい?」


「尚巳がいいならいつでも」


「友達に言っとく!」


「あ!こら!変な言い方するなよ!」


1人で突っ走ってったけども…


「待て!尚巳!」


なんで走らねーといけないんだか…


「冬~教室ってどっちー?」


ほらやっぱり。途中で止まってるし。


「こっち。行くぞ」


「待ってよー」


「…お、おい、手なんか学校で繋ぐなよ」


いつのまにか手を繋がれていたとは…。いやさっき俺から繋いでた。


「なんで?みんなと繋ぐよ?」


「男とも、繋ぐ?」


「あ、繋がないか」


「繋ぐなよ」


「冬は繋ぐの嫌なの?」


「ばか。そーじゃねー」


「おー!ラブラブ」


タイミングよく秋が廊下でうろついてた。うざいな。


「秋、教科書返せ」


「あー!忘れてた」


慌てて取りに秋が走って行った。

尚巳もなぜか秋に続いて走って行ったのは…教室が見えたから。


「教室着いた!」


遅れて俺はゴール。途中で秋に教科書返されたから。


「冬はやっぱりデートしてたのか?」


くそー、突っ込まれるしかない状況を作ってしまった。


「デート!今日するの!みんなー冬と帰るね」


尚巳はごく自然だ。


「うわ、金井まじでなわけー?」


「遊ぶくらいいいだろ」


「尚巳に無理させないでよね~」


「は?無理ってなんだ?」


「図書館で勉強とかなしだからー」

「てか金井と行くとことかあるわけ?」


「あるよー?楽しみだね、冬」


尚巳の笑顔は眩しい。

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