第30話

「冬!国語!」


「またか」


廊下から早速と現れる秋。忘れ物多い。


「あ、秋くん!ねー彼女とかいる?」

「どんな子好きー?」


一瞬のうちに女子から質問責め。


「え、彼女?ほしー募集中!美人な子ね!」


にかっと笑った。

ざわざわしたけど、秋はそのまま去っていく。


「ねー冬、一緒に帰らないの?」


尚巳は思い出したのか、俺のとこまでやってきた。


「女子と遊ぶんだろ?」


「うん」


「俺はいい」


「のんちゃんには?明日会う?」


「は?」


「いい?」


そういえばなんか言ってたな…


「家は?わかる?」


「地図がねー携帯に入ってるの」


読めないくせに。でも、朝以外にも話せて嬉しいなんて、そんなこと言えない。


「尚巳、ほら移動するよー」


移動教室。前より気にかけてもらえてるのかな。

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