第26話

「なにしてんの?」


たいてい誰かと話してる尚巳だが、1人で放課後教室にいた。ので、つい話しかけていた。

俺は、学級委員の会の帰り。女子に押し付けられた。


「冬は、今から帰るの?」


「そうだけど?なに」


「お願い!途中まで一緒に帰ろう」


「なんで?」


「帰る道、間違えたくないから」


「は?」


「友達がね!用事あって先に帰ったの。だから、家までの道わからなくて」


「ふーん、いいけど」


「ありがとう、冬」


心から言われた気がした。中学生になって、もう2ケ月は経つと思うが。

気にせず、一緒に帰る。


「尚巳かわいいって男子がよく言ってる」


「ほんと!?嬉しい」


「いや、お世辞かもしれないけど」


「いーの」


何気なく話をする。いつも誰かといて、あまり話せないから…。尚巳は楽しそうだ。


「うちはねぇ、コンビニ右に曲がったとこ!えっとー途中はねーパン屋さんあって、公園あって~。校門からどっちに行ったらいい?」


「右だな。そこまで覚えてるのにおしいな。覚えられそうなのに」


「そうなの、でもすぐ迷子になるよ」


「なんで?」


「わかんない」


「それって辛くない?」


「?」


「1人で帰れなかったんでしょ?もし誰も来なかったら?」


「先生と帰る」


「そっか…帰れないこと友達には話した?」


「うん話した。でも、わかってるかな?」


「今度から俺と帰る?」


「いいの?」


「だって、尚巳かわいいから…それで、変な人に連れ去られたら困る」


「私バカだから、連れ去られないよ?」


「違う。危ないから!」


「そうなの?」


「尚巳は、なんでそんなに…自分に正直なの?」


「わかんないよー?」


「羨ましい」


「えー?ほんと?」


「うん」


「冬、今度はお友達の、のんちゃんの家も一緒に行きたいね」


「…誰それ」


「私ね、道が全然覚えられないんだー。だからモデルくびになっちゃったー」


急に話が変わったけど…


「くび?モデル?」

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