第24話

「おはよー」


「おはよ」


朝はいつだって、靴箱で話しかけてくれる。


「今日は雨?でも晴れてるよねー?」


「天気予報なんてあてにならないからわかんない。すぐ変わるし」


「そーだよねー傘は持ってきた?」


「一応」


「私ね、忘れた」


「ふーん、だから晴れてるだろって言いたいわけ?」


「うん。友達と相合傘したら入らなくて濡れちゃうよー」


「入る気まんまんだな」


「それゃそーでしよ!風邪引くもん」


「あっそ」


「みんな入れてくれるから、だから風邪引いちゃう」


みんなが…か。そのまま一緒に教室に行く。尚巳と話す時間はこのときくらい。後は、別行動だ。


「おい見ろよ」


「は?」


移動教室に移動中、友人は窓を指差しているけど?


「尚巳、違う棟に行ってやがる。バカだ〜」

「あいつまだ覚えてないわけ」


「おい!移動教室こっち」


窓を勢いよく開けて叫んでいた。こんな声かけで聞こえた?か?


「ありがとー!そっちに行くー!」


ちゃんと届いていて安心した。


「冬はあとで先生にどやされるの嫌だったんだろ」


「そうじゃねぇよ」


そんなこと1ミリも考えてない。

中学校というのは、なぜこんなに移動しないといけないのか?


「あいつまた間違ってるしー。話し聞いてねーよ冬」

「ありえねー。かわいくてもバカはなぁ」


「おい!こっち」


この状況が何度かある。いつもいる女子はどこだよ。


「え!わー!ほんとだーありがとう」


いっつも驚いてる。本気で間違えてる。

こんな感じで注意してたら、尚巳が休み時間に近寄ってきた。女子とのおしゃべりを差し置いて。


「隣のクラスのあきくんっておにーちゃんなの?」


これは、女子の差し金か?


「まぁ、兄だけど…双子だよ」


「へーそっか!金井くんは友冬ともふゆだから秋と冬だね!じゃあ他の兄弟が春と夏?」


名前を覚えていたのかと驚いたけど、今はそんな話しても関係ないし。


「兄は春、夏はねこの名前」


「へーそっか~!ねー、私も冬って呼んでいい?」


「別いいよ」


「ありがとう冬」


「俺も名前で呼ぼっか?尚巳って。みんな呼んでるから」


「うん」

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