第22話

花田さんと出会ったときのことを思い出す。


「テリヤキバーガーと…」


「え、はい!」


研修中の札をつけて、一生懸命接客していた。


「落ち着きなよ~。アルバイトっていいよね?お金もらえるし」


「え、はい」


「それにここの店長はすごい優しいから。安心してね」


「はい…」


見た目と違って優しい人だ。そして、よく来店された。


「よく太らないよね」


店長はふくよかなお腹をさすりながら話す。


「俺?まぁ、歩き回ってるから」


「若いね、まだまだ」


「ま、そっすね~」


「店長のお知り合いなんですか?」


「常連さんなんだよー?」


自分で言ってるし。


「同じものしか頼まない常連さんだよ」


「店長ひどいな。今の時間ひまだなー。ね、高校生なの?」


「え、はい」


「長話しすぎないでね」


「うーす。今、1番楽しくて、嬉しいことってなに?」


「え…っと、アルバイトしてること?でしょうか?」


「他にもある?」


「…私に優しくしてくれる人がいることでしょうか」


「それ彼氏?」


「…まだ付き合ったばかりですが」


「そう」


「勉強も教えるの上手なんです。私、塾に行ってるんですけど、高校生と同じクラスに中学生なのにいるんです。でも彼はいつも不安そうにしてて。私、力になりたいんです」


「思ってくれてるだけで、力になってるよ」


「そうですか?」


「だって、彼のいいとこすぐ出てきたよ。よく見てるね」


「なんか恥ずかしいです」


「デート行かないの?」


「人混み苦手で。なかなか」


「まーどこでも遊んだらいいよ?」


「はい、ありがとうございます」


「緊張はとけたかな?」


「…はい」

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