第14話

どうして辰巳が…


「春、落ち着いて。無理してるときは分かる。顔色悪いし、だから、言えばいい。俺らにできることあるっしょ?」


辰巳はパフェを食べながら悠長に話す。


「やめろ、俺は…」


春くん、無理しないで。

わたしにできることはやりたいよ

…みんな俺のこと見てくれてる。


「…俺は…片足、義足なんだ」


「そうなんだ」


さっきと同じ様子でパフェを食べている。


「いや、なんでそんな冷静なんだよ」


「だって、俺、見慣れてるから」


「え…」


「病院とかで見たことある。かっこいいじゃん?」


「…お前入院してた?」


「違う。ボランティアよく行くから。イベントとかしてんの」


「え、そんなことしてんの?」


「してるよ?隣のおばちゃんが支援団体のお偉いさんだからね!お手伝いしてんの」


知らなかった…だから塾も部活も入らないのか。聞こうともしなかった。


「結構楽しいよ」


「…そ、そう」


「で?義足だと運動できないの?」


「できるよ、でも…俺はまだ慣れなくて。歩くのに精一杯」


「そうなのか。春、話してくれてありがとう」


「いや…」


こちらこそ、気にかけてくれてありがとう、なんて言えなかった。


「で、彼女は?塾の人?」


話戻された。

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