第6話

肥後さんといると嬉しいし、しあわせな気分だ。


「春ー、最近ぼーっとしてないか?」


「それは辰巳だし!」


「は?のろくねーよ。ねー春って好きな子とかいる?」


いきなり恋バナとか、なんのつもり?


「いない」


「春、無理しなくていいのに。春は気付いてないんだよ 」


「どういうこと? 」


「さてね」


3月。残念なことに、肥後さんとはお別れ。


「高校受かったー!よかったーありがと」


「おめでとう」


これでもう塾は来ないのか…。わざわざ俺の塾終わりに知らせに来てくれたけど。


「新学期から、高1レベルのクラスでしょ?また一緒だね春くん」


「辞めないの?」


「うん。私、勉強頑張りたいの」


よかった。


「春くん話しあるから、これから公園行かない?」


え、なんだろ。とりあえずついていく。


「前より塾は来れなくなるの。アルバイトするから。そのお金で遊んだりしよ?」


「う、うん」


「春くん、私、春くん大好きだよ。だから、春くんは、春くんを嫌いにならないで。とっても素敵だよ」


「ありがとう…ん?」


こ、告白?


「あれ、春くん顔赤い。熱かな?」


手をおでこに当てられた。

俺、おかしくなりそう!


「大丈夫そうだね。ん?春くん?」


「俺、も…好き。肥後さんのこと」


「…春くん、いいかげんみなみって呼んで。慣れたら呼ぶ約束!」


「え…えっと、みなみ…」


「よくできました」


褒められた。

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