第1話 開かずの扉のその先は - 7
出た目は最弱で、俺と久我の身体は先程よりも重くなる。さらに、駄作にかかっていた重力も解除されており、再度駄作に重力をかける場合、駄作に久我が触れる必要があるのだ。
駄作の突進。久我に向かう。その突進は久我にぶち当たった。先ほどと駄作の速度は同じ。俺と久我にかかる重力は先ほどよりも重くなっている。ならば、この結果は当然と言える。
吹っ飛んだ久我は力無く横たわる。
「ごめん、あたしちょっとギブアップかも。霧山っちだけじゃ勝てない。逃げて」
久我がそう言って、声を振り絞っている口からは血が垂れている。駄作はまた少し動きが遅くなった。吹き飛ばされた際に久我が駄作に触れたのだろう。この状態なら俺一人なら逃げれる。だが、逃げた場合、久我は間違いなく駄作に殺される。
なら逃げなかったらどうだ? その場合、俺も久我も駄作に殺される。先ほどまでいい戦いができていたのは久我のサイ能のおかげで、それがもはや期待できない以上、俺に勝ち目はない。
「分かるでしょ、逃げて」
久我がそう言う。駄作はじりじりと久我に近寄って行った。
情けない。情けないなぁ。サイ能なしのことをこれほどまでに憎んだことはなかった。己の無力をこれほどまでに憎んだことはなかった。
開かずの扉を抜けた先は、双六の世界だった。 人間 計 @neomero
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