第1話 開かずの扉のその先は - 4

 ベタベタと気色の悪い足音の先に、気味の悪い存在がいた。人間状の泥人形と形容しようか。ただし、その左腕はなく、代わりに右腕が3本ある。その首から上の顔も2つある。その泥人形は人間のような様相で、ベタベタと歩く。


「こいつはまずいな」


 死のオブジェ 駄作と呼ばれるこいつは、ニュースを時折騒がせる、まるで爆弾のような存在だ。この世界の5つの大国の1つに"オブジェの国"とやらがある。そのオブジェの国の王はジジジジというふざけた名を持つ男性だ。


 そのジジジジのサイ能は、自ら作ったオブジェに命を吹き込むというものだ。一日に一回ジジジジはそのサイコロを振れ、その出目に伴いオブジェに命を吹き込む。サイ能のルールにのっとって、2つのサイコロの出目の和が確率的に出やすい目ほど弱い命を持ったオブジェとなり、確率に出にくい目ほど強い命を持ったオブジェとなる。


 そしてこの駄作というのは、そうして作られた7の出目のオブジェだ。つまり最低ランクのオブジェである。


「こいつを倒さないといけないのか」

 

 この駄作は特に感情を持ってはいない。駄作という名前よろしく、知能も低く、ジジジジのいうこともあまり聞かず、ただただ徘徊している悲しいオブジェだ。この駄作はただただ徘徊するオブジェだが、一つ厄介なのが、こいつはとてつもなく狂暴なのだ。まるでその作成者ジジジジの凶暴さをそのまま譲り受けたかのように徘徊の最中、目についたものを攻撃し続けるのが、この駄作という存在だ。

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