第1話 開かずの扉のその先は - 3

 草木も眠る、23時30分。俺達は開かずの扉の前に現れて、そしてその前に立つ。薄暗い学校は当然おどろおどろしく、懐中電灯の明かりを頼りに学校に来た俺達は、開かずの扉をそのまま懐中電灯で照らしたが、当然名前の通り開いてはなく、扉をがちゃがちゃしてもまるで開かなかった。


「0時まで待ってみようか」


 そうして俺達はただただ待った。時間は進み、23時45分、相変わらず扉は開かない。23時55分、開かない。0時00分、開かない。0時15分、開かない。


「よし、帰ろう。よっちゃんぶん殴っとく」


 久我がそう宣言した。


「おう、強めによろしく」


 その時、目がくらんだ。


「なんだ?」


 懐中電灯を久我がふざけて俺に向けたのかと思ったが、久我も同じく目を細めている。その光は、開かずの扉からのものだった。相変わらずその扉は閉じているが、その隙間からは光が漏れていたのだ。


「これ、よっちゃんぶん殴っちゃいけないやつかも」


 久我のその冗談に答える余裕はなく、俺は手をその開かずの扉に向けた。そして、その扉を開こうとしてみる。相変わらず開かなかったが、その瞬間、どこかから聞こえてきたその言葉。


”死のオブジェ 駄作を倒せ。さすればこの扉は開かれる”


 そんな不思議な文言。


「聞こえたか?」


「うん、聞こえた。死のオブジェって、なんか聞き覚えあるよね?」


 確かにそのその嫌なフレーズ、”死のオブジェ"は聞いたことがある。それも、最悪な形で。


 俺達の背後、ベタベタという不愉快な足音が響いてきた。




 

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