第2話 卒業文集 独白

3年B組 岩本 実有みあ


 もう高校生活が終わるなんて信じられない。大切な親友ができて、大好きなクラスで過ごしたこの3年間。生きてきた中で最高な3年間だった。これから先、これ以上の居場所ができる気がしなくて心配です。そんな中でも一つだけ心残りがある。

 2年生から一緒のクラス。4月は席も前後。汗が玉のように落ちる季節が近づくにつれて一層日焼けしていく後ろ姿。朝練のせいか、毎朝ギリギリに駆け込んでくるある生徒をずっと目で追っていた。

 きっかけは些細なこと。みんなで駄弁っている時に垣間見える優しさとかイジられてはしゃぐ可愛いところとか。いつもはキリッとしてるのに、笑うと下がっちゃう眉毛とか。あと、夏の甲子園で応援して恋に落ちるって定番じゃないですか?

 臆病な私は告白なんかしたことなくて。結局このまま卒業しちゃいます。きっとこれも黒歴史になっちゃうのかな。今は大学受験の頑張りどころだから、思い浮かんだのがこれとナポレオンくらいだったんです。もし、君がこれを読んでくれたなら、私は正門前の桜の木の下で。なんてね。

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