春に色づく僕の文字
音海澄
第1話 卒業文集 思い出
3年B組 池尻 航大
何を書くか決めずに書き出してしまった。何を書こう。現在、深夜2時を回ったところだ。こんな下らない書き出しで、チェック中の担任の先生は呆れるだろうか。
高校3年間で一番楽しかったのは、部活とクラス。3年生の高校最後の夏までマウンドに立つことができて良かった。肩を壊しかけたこともあったし、毎日の練習には辛いものがあったけど、もう無理!ってなるまで練習して仲間と食うコンビニアイスは堪らなく美味かった。決勝には至らなかったけど、泥のように汗に塗れ、クタクタになったグラブに悔いはない。
クラスは特に文化祭が楽しかった。夏休み、部活がオフの日は朝から晩まで準備した。当日も大盛況。廊下を通るたびに3Bがすごい!とそこかしこで聞こえて鼻が高かった。外装も内容も好評で、何よりうちには学校のマドンナがいたから。文化祭の最優秀賞を取って担任に奢ってもらったアイスのまたうまいこと。
こうしてみると俺の3年間は夏とアイスに凝縮されているかもしれない。これからも暑い夏を、熱い想いと根性で乗り切ろうと思う。
深夜テンションでも、唯一残った後悔を文字に起こすにはどうにも筆が進まなかった。
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