異世界に来ちゃったんだけど、質問ある?
さて、今日は修学旅行当日。
まじで朝が早くて起床は午前四時。らうと恋バナとかしなくてよかった、してたら絶対寝坊してた。俺にそんな恋バナなんてないけども。
まぁらうは恋バナしなくても寝坊したけどな。寝相も悪けりゃ全然起きなかった。くるはちゃんの日ごろの苦労が目に浮かぶ…
ぱぱっと身支度をして、荷物のチェックをする、俺は大丈夫そう。さすが俺。
もう家出るし一応ほかのみんなにも声かけとくか。
「もう行くけど、なんか忘れものとかないよね?」
「あっても現地で買えばいいんじゃね?」
「そうですね」
「あ、財布忘れた」
「ねえちゃん…」
…まあみんないつもどうりみたいで良かった。いやねえちゃんのは良くないけども。
ねえちゃんが財布(なんかちょっと痛々しいデザインだった)を持ってきたので出発することになった。
もうねえちゃんがなんかやらかすくらいじゃ不安にならなくなってきたわ。
とか思ってるとねえちゃんが急に止った。おいおいまさかなんか忘れたとか言うんじゃないよな…?
「…ねえちゃん?」
「スマホ忘れた。」
「ねえちゃん……?」
前言撤回。不安しかなくなった。身内のことで不安を感じたくないんだけどなぁ…。
そんなこんなで駅に着いた。まだまだ朝方だから人は少ない。
さて、このへんにいると思うんだけど…あ、いたいた。
「二人とも、おはよう」
「あ、おはよぅ~」
「おはよう、みんな」
駅で集合することにしてためらちゃんといづもとそんな挨拶を交わす。
ちなみにめらちゃんは地雷系の服装だったのですぐわかった。横に背の高めな子を連れていたから余計わかりやすかった。
今回の修学旅行は私服OKなのでみんなそれぞれ私服だ。俺は適当に選んだのを着てるけど大丈夫かな。まぁ女子軍になんも言われないから大丈夫か、安心した。
ねえちゃんの服装は…うん、触れないでおこう。ちょっと奇抜とかそういうんじゃない。センスが厨二のそれだった。
ねえちゃん……。
あ、今日から行くのは京都。
班員で家に集まってどこ行こうか~なんて話してた時、テレビの某CMで
「そうだ、京都行こう」って流れたからそうなった。結構軽いノリで決まったね。
本家CMとは違って日帰りじゃなくて二泊三日プラン、修学旅行で日帰りってのもあれだしね。
先ずは普通の通勤列車に乗って近くの大きめの駅まで行く。ここで新幹線に乗り換える予定。新幹線が来るまで朝食がわりの駅版を選んでそれが終わったらのんびり待つだけ。ちょっと早く来すぎたかなぁ、二〇分くらい待たないとか。
「昨日は寝れましたか?」
「ぐっすり寝れたよぉ…ねぇいづもちゃん?」
「…まぁな」
「ん?なんでいづもがそれ知ってんの?」
「ん~内緒?」
…あそこの話には触れないどこう。挟まれに行ったら殺されかねない。誰に殺されるかは知らないが、何となくそんな気がする。
とまぁそんな風に駄弁ってたらあっという間に新幹線が来る時刻になった。誰かと一緒にいるってのはいいね。
六人でいそいそと乗り込み、三人と三人で向かい合うような形で座る。しばらくして、新幹線が動き出した。さて、お楽しみの駅弁タイムだ。
「それじゃぁ…」
「「「「「いただきます!」」」」」
「ん、このお肉おいしいです」
「ほんとか?くるは、少し分けてくれ俺も食いたい。」
「いづもちゃんあ~んする~?」
「…いや、大丈夫だ……また今度な。」
「みんな待って、このお弁当箱に毒が盛られてるかも…。いや、時限爆弾があってこの私を殺そうと闇の結社がーー」
「ねえちゃん………」
迷惑にならない程度の声で談笑していたら駅弁はすでになくなっていた。おいしかったな。ねえちゃんは謎に怪しんで全然食べようとしなかったけど。
そして、おなかも膨れたし朝も早かったからって事で、贅沢に昼寝をすることになった。俺とくるはちゃん以外は早起き苦手だからね。みんなには万全の状態でいてほしい。かくなる俺も眠いので寝ることにした。目覚ましはあるし車内放送もあるから大丈夫…そう思ってまぶたをそっととじ、意識を落とした。
今回は恋バナの誘いはなかった。
「んん…あーよく寝た…え?」
よく寝たらだめじゃないか?だって今は新幹線の中で…
新幹線?寝る前までは新幹線にいたよな?なのに、なのになんで今目の前では
大自然が広がっているんだ?
「夢か、質の悪い。夢だよな?いや、夢なはず…」
そう独り言を連続させるほどパニックになっていた。
夢としかいいようがないのに、俺の勘はこれは現実だと言ってるような気がする。俺の勘はよく当たるんだよ…
それに大自然と言ってもその全てが異質だ。今俺は広い野原の上に一人ぽつんと立っているのだが、遠くの方に連なる山が見える。山、というより筒が立っている…いや本当にそれしか表現のしようがない。筒が立っているのだ。そして俺の頭上では見たこともない動物がぐるぐると回っている。
ハ〇ーポッターにでてきそうな生き物だ。冗談を考える余裕はあるんだね、俺。
「なるほど。少なくとも、ここは日本…いや、地球じゃないのか。
だとすると、いわゆる…異世界ってやつなのか?」
普通ならありえないとその考えを一蹴するのだが、なぜか今はしっくりきた。
まるで、それが答えだと言わんばかりに。
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