旅行の前日、絶対寝れないよな
打ち合わせという名の雑談を終えて、今は家への帰路についている。もちろん姉のゆうも一緒だ。不意打ちの一発を食らいたくないから前に行かせている。
「くう…実の姉をそんな扱いしていいのか?」
「そうだぞ、くう。こんな綺麗な姉をぞんざいに扱うんじゃない。」
前に行かせているだけなのにこの非難の嵐を受ける身にもなってほしい。
今日はゆう以外にもらうとくるはちゃんがいる。急遽、謎のノリでらうとくるはちゃんが泊まりに来ることになったのだ。
親同士仲がいいので3秒でOKサインが出た。
「いや、ねえちゃんは前科あるし…。それにらう、そいつは普通の姉じゃないぞ。身内にいてほしくないタイプのあれだぞ。」
「姉をそいつ呼ばわりだと?!?」
「歳変わんねぇからいいじゃねえか!どっちでも!そもそもねえちゃんが自分のことはねえちゃんって呼ばないとぶっ飛ばすってぶっ飛ばしながら言ってきたからで…」
「はい、ストーップ。ストーーーーーップ!せめて家でやりましょう?!まだ外ですよ?!ご近所迷惑になりますからーー!!」
そんなくるはちゃんの説得で両者はようやく矛を収めた。やっぱりくるはちゃんみたいな妹ほしいわ…くうのくるはに対する好感度が2上がった!
まぁ、くうは常識を持っているので親友の妹に手を出すイベントは起きないのだが。それに万が一手を出したら兄が黙ってないだろうけど。
そのあとも結局近所に若干迷惑をかけながら四人は帰っていくのであった。
「さぁ!くう…始めようか…恋バナをっ!!!」
「無い」
おい、今日はまぁまぁ疲れてるんだから寝させてくれ、らうよ。
飯も食って細かいことも話し合っていざ寝るぞって時に恋バナするか?
「即答かよお前ぇ…そもそもまだなんも言ってねぇし、面白くねぇな…」
「悪かったな!面白くなくて!でもないもんはないんだよ。というかそもそも今聞いてどうすんだよ、修学旅行で泊まるホテルとかでやれよ。」
「ホテルでなら答えてくれると。」
「いやだから俺にそんなあまあまな話なんてないよ。」
生まれてこの方、告られたこともなけりゃ、バレンタインのチョコも義理以外もらったことがない俺に、あまあまな話なんてあるわけなだろ…
「なんでだろうな…。くうは頭もよけりゃ運動もできるし顔も整ってるのにな…あ、この前のお前のバドミントンの試合映像見たぞ。あれは一方的な蹂躙だったなぁ…。
相手がかわいそうだったぜ、ありゃ。」
「そういうお前こそ顔はむかつくくらい良いし運動なんてアスリートの世界に片足突っ込んでるだろ…中学生がバスケで大学生に勝つとかどんなチートだよ。
まぁそのぶん頭は…うん。」
「なんだ?喧嘩か?やるか?ここで。」
「人の家だぞ、やめてくれ…いやおいお前ほんとにやめろっ…うぐッ?!」
持ち前の運動能力でなすすべもなく組み伏せられた俺は素直に謝り、今度こそ眠りにつくため、「おやすみ」と有無を言わせぬ勢いで言い放ち、布団にもぐった。
行く前からこれだぞ…先が思いやられる。
そんな心配をしながら、俺は疲れもあってすぐに寝むりについた…
「なぁくう、本当に恋バナないのか?」
「…早く寝ろ」
無駄に体力があるこのバカも旅行中は早めに眠ってくれるのだろうか?
(こいつ、もう寝たのか)
来羽は空が寝た後もまだ起きていた
(早く寝るべきだとは思うが…どうも嫌な予感がして寝れねぇ)
来羽は修学旅行に対して謎の違和感を持っていた。が。
(まぁくうがいりゃなんとかなるか…)
そう思い、寝ることにするのだった。
修学旅行が楽しみで寝付けず、ちゃんと寝られたのはもっと先だった。
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