16話 「時」後編

 翠は港から聞く前から姉妹の能力が「時」と「間」であることに気がついていた。


 死んだ姉が最後の悪あがきダイイング・メッセージとして、薫にヒントを残したのだ。


 翠はシミュレーションをし続けた。薫を完膚なきまでにブチノメス方法を。


 薫には生半可な攻撃は効かない。時を戻すことで不利な盤面を覆せるからだ。


 結果、翠が選んだ方法は


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「嫌だ、死にたくない!死にたくない!」


 薫はプライドを捨てて泣き叫んでいた。


「なんなんのよあんたたちは!」


 翠が選んだ方法は、


 ジュッ


 薫を嵌め殺すことだった。


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 東雲翠第一席の権能は「無効」。奇跡の為のエネルギーをもとに戻すことにより、指定した相手が奇跡を起こせなくなる。対象は一人までしか選べないがそれでも強力である。


 大石大和第二席の能力は「光線」。当たればちょっとしたものなら蒸発する光線を放てる。


 この二人の即死コンボが


 魔法が使えなくて焦る魔法少女を光線で撃ち殺すことである。


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 翠は薫を殺したかった。正しく万死に値する蛮行を薫が行ったからだ。


 だから、あえて<セーブ>を使わせた。何回でも殺せるように。


 




 それからは、一方的な蹂躙であった。


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ピチュ

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ピュッ

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………

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………

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 薫はもはや、自分の感情が分からなかった。最初は何者にも負けたくなかった。それだけのはずなのに


死にたくない


死にたくない死にたくない死にたくない死にたくない死にたくない死にたくない死にたくない死にたくない死にたくない死にたくない死にたくない死にたくない死にたくない死にたくない死にたくない死にたくない死にたくない死にたくない死にたくない死にたくない死にたくない死にたくない


 何回死んだかはもうわからない。何をしても死ぬだけだった。


 彼女は貯めた魔力を使い続けた。しかし、その魔力は翠の権能により幸福へと戻るだけだった。


 ロードは死んだら自動で発動するため魔力は減り続ける。それも、後少しで突きそうだった。多く見積もって後2回だろう。


 薫が本当の意味の死を覚悟したその時、


「先輩、助けに来ましたよ。」




 不知火恋主人公が大石の光線を弾いた。


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