12話 

 





 緊迫した空気が流れる。それはそうだろう。彼女達は人類の救世主であることを誇りにしていた。その誇りを奪おうとしているのだ。葛藤して当然だろう。


「私は辞めるわ。」


 そう言って青担当はブローチを叩きつけて割った。彼女の魔法少女への変身アイテムだ。


「私も辞めますわ」


 そう言って白担当はティアラを叩き割った。


「…二人が辞めるなら」


 そう言って言葉緑担当は指輪を踏みつけて割った。


「…僕は君を信用できない。」


「そうか。」


「だけど、恋の腹黒さも知ってる。」


「…そうか。」


「ただ一つ聞いて良い?」


「何だ?」


「先輩たちはどうするの?」


 先輩達。それは、先代魔法少女のことである。もっとも、大人になっても魔法は使えるが。


 アニメでは、強力な頼れる姉貴分でありそれを主人公は良いように利用していた。


「生け捕りにして変身アイテムを壊すよ。」


「そう、わかった。魔法は使わない。でも、これは壊さない。あなたが信用できなくなったときに私はこれであなたを殺す。」


「…そうか。」


 そう言うと黄色担当は睨んできた。


 狐様に目配せして彼女達にはショッピングモールに戻ってもらった。


 今度は''先輩''対策だ。


ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

 魔法少女達と話した後、俺は神の代理人デウス・アルタナティヴの本拠地たる教会に来た。


「やぁ、待っていたよ。」


 東雲翠。神の剣ミカエル第一席が待っていた。


「すまない、説得に遅れてしまって」


「どうだったんだい?」


「暫くは無力化できそうだ。」


「それは行幸。」


 そんな話をしながら会議室に着く。そこには既に6人座っていた。全員が神の剣ミカエル所属だ。彼らに向かって俺は言った。


「これから、対先代魔法少女対策会議を行おうと思います。進行は俺、赤城湊で。」


ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー


 狐様は強い。しかし、彼女にも弱点はある。それは、一人しかいないと言う点だ。なにが致命的かって同時撃破しなければいけない相手には分が悪いのだ。

 現状の恋を倒すためには同時撃破が必要だったので彼女達残りの四人を説得しに行ったのだ。


 ちなみにだが、陽は魔法少女であることを心の支えにしているため今回で辞めないのはわかっていた。そのため、今は引いたのだ。


「先代魔法少女は、死ぬと別のところで生き返るので殺してはだめです。しかし、彼女達2人は相方のところへ転移できるので誰か一人でも逃すことはNGです。」


「そこで同時攻撃ってことか。」


 第二席の大石大和の台詞だ。


「あぁ、そう言うことだ。俺(狐様)で一人いける。だから、7人で協力してもう一人を生け捕りにして欲しい。」


 彼女達を無力化しなければならないのには、彼女達の傲慢さが上げられる。


 彼女達は自身こそが絶対的正義だと信じ込んでいて、自分に逆らうものは全員悪役だと思っている。


 そして、彼女達は自分がが永遠に幸せの絶頂ににいられる魔法を使おうとする。途中で主人公に阻止されたが、実行されていたらきっととんでもない幸せを代償にしていただろう。


 そして、彼女達がその魔法を使おうとするのは明後日なのだ。

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